第3話 異世界八百屋にかかわるいくつものミステリーの答えを知ってしまったら、夏祭りにいくのが怖くなってきませんか?…え、そうでもない?

 「どうして、夏限定でなければならなかったのか?」

 そのミステリーの、答えは?

 「裕福高齢者や過保護世代の首をはねて、夏祭りのお面として、高く売るため」

 世の中には、たくさんの仕事があるわけ。

 「夏祭り」にいくと、「お面」が売られている。

 ヒーローものの面もあれば、アイドルキャラのお面も、売られている。その面をかぶって、子どもたちが、はしゃぎ回る。

 そこに目をつけたのが、彼、マツダイラ。

 八百屋でいくつも情報を手に入れて、言葉たくみに、危機感のない世代を引きよせた。

 「推し活」

 それは、友だちだと見せかけて、ターゲットを引きよせ、消すため。新しいお面を作るための、ビジネスだったのだろう。

 「友だち、大好き!」

 そういう過保護世代は、気を付けよう。

 「本当の友だちって?推しって?」

 考えて、生きろ。

 さびれた商店街の、奥。

 だれも見ていない場所で、犯行に及ぶ。

 闇の中で、いろいろな作業が、はかどったろう。その作業をくり返し、夏の取引で、あの八百屋は、かなりの金をもうけることができていたんだ。

 彼は、オオクマに、言っていたはずだ。

 「新卒が、うらやましい。俺は、新卒を推したい」

 彼が、配送センターに運ばせていたのは、壺に入れた、新卒の首。それを、「異世界夏祭り」に届けることで、「彼なりの推し」を完成させようとしていたのか。

 首を、10万円で、屋台に売る。

 屋台は、20万円で、客に売る。

 「20万円のお面を、夏祭りで買う子」

 そういう子、いると思うよ?

 「20まん円なんて、じいじとばあばにいえば、すぐに、もらえるもん。おかねがなくなったら、なけばいい。テーガクキューフキンを、もらえます!」

 そういう子、いると思います!

 しかし…。

 彼は、やりすぎた。

 「高齢者の首」まで、運送会社に、運ばせてしまったのだから。

 「おじさん?やきそばとしんそつの首を、ちょうだい?」

 「良いのかい、おじょうちゃん?」

 「え、なあに?」

 「これ、あの世代だよ?努力のできたシューショクヒョーガキ世代を裏切って、自分たちだけ良い思いをしようとした、あの人たちの首だよ?」

 「う…」

 「それを買って、どうするんだい?おじょうちゃん?」

 「けいろうの日に、じいじとばあばに、プレゼントするんだ」

 「えらいねえ」

 「そう?」

 「じゃあ、こっちの首はどうだい?」

 「なあに?」

 「新しく、入荷された、推しマストだ。カシワバという名の、高齢男性の首だよ。とある八百屋の店長を、やっていたようだね。安く、しておくよ?」

 「ねえ、おじさん?」

 「何だい、おじょうちゃん?」

 「しんそつの首と、どっちがオススメ?」

 「今どきの子は、すごいことを言うねえ」

 「で、どっちが、オススメなの?」

 「今どきの子には、勝てないねえ。正直言って、俺は、どちらもオススメしないね」

 「じゃあ、いらない」

 高齢者と新卒は、死んでも、きらわれる。

 …っていうのか。

 しまった。

 夏祭りにいくのが、怖くなってきた。





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(ちょこっと短い話)夏の「推し活」ミステリー。なぜ、あの店はつぶれない? 冒険者たちのぽかぽか酒場 @6935

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