色気の出るポーションは要らんかえ? 3人用台本
ちぃねぇ
第1話 色気の出るポーションは要らんかえ?
【登場人物】
霞(かすみ):ポーション開発者
彩(あや):色気の欲しい女
拓斗(たくと):彩のことが好きな男
霞:色気が欲しい~?
彩:そう、色気っ!
霞:どうしたの突然
彩:拓斗から言われたの!「お前ほんと色気ねぇな」って
霞:あ~言いそうだなぁあいつ
彩:私の方が5つも年上なのにホント失礼だと思わない?
霞:まーでも確かに彩に色気は感じないかなぁ。元気いっぱい、猪突猛進って感じだし
彩:私だってその自覚はあるよ!でもさぁ、そんなダイレクトに「色気ねぇ」とか言われたら腹立つじゃん!
霞:まぁねぇ
彩:なんとかならない?
霞:なんとかって
彩:拓斗が言ってたの。「霞の爪の垢もらって飲んでみたら多少色っぽくなるんじゃね?」って
霞:だからって素直に私のとこに来ちゃうのかぁ
彩:爪の垢は要らないから、こう…コツを教えてもらえたら、と
霞:コツ…ねぇ?そんなものより、実際体感したほうが早いと思うけど
彩:え?体感?霞が色っぽく迫ってくれるの?
霞:なんで私があんたに迫るのよ。それも面白そうだけどそうじゃなくて……ほい
0:霞、机にコンッとビンを一瓶乗せた。
彩:なにこれ
霞:霞さん特製ポーション
彩:ポーション?
霞:そ。私の職業薬剤師なの覚えてる?これは私が長年研究して作り上げた「色気が溢れ出て止まらなくなっちゃう」お薬なの
彩:なにそれ、怪しいんだけど。薬剤師ってそんなことできるの?
霞:まあまあ、騙されたと思って。物は試し、飲んでみない?
彩:えぇ…?なんか紫色してて…美味しそうじゃないよこれ
霞:拓斗をギャフンと言わせたいんでしょう?…別に嫌ならあげないわよ?この瓶結構高いんだから
彩:の、飲みます!飲ませていただきますっ
霞:ささ、どうぞ?
0:彩、グイっとビンの中の液体を飲み干す。
彩:あ、意外と悪くない味かも
霞:あんまり不味いと売れないからね。たゆまぬ企業努力に感謝してほしいわ
彩:私…なんか変化した?全然自分じゃわかんないんだけど
霞:焦らない焦らない。……もうそろそろかな?
彩:え?
0:ここから彩の色気(演技)が溢れ出る。
霞:そろそろ変化、感じない?
彩:え?別に何も感じないよ?身体も熱くなったりしてないし
霞:………ほう?これは予想以上の反応かも
彩:え?私どこか変わった?…変?
霞:いやぁ…女の私ですらついてないモノが勃ちそうになったわ
彩:霞?何を言ってるの?
0:拓斗登場。
拓斗:霞ぃ?彩来てる?見てねぇ?…って、いんじゃん
彩:(とても艶めかしく)…拓斗?
拓斗:えっ…え、彩、だよな?
霞:いいところに来たわね
拓斗:いいところって
彩:拓斗?私…変?いつもと違う?
拓斗:いつもと違うって…え、何これどういう状態?なんでこんな
霞:色っぽいのか、って?
拓斗:あ、いや
彩:私…色っぽいの?少しは色気、出てる?
拓斗:少しって…
霞:ちょっと拓斗、前隠して。正直なあんたが主張し始めてるわよ
拓斗:わぁっ!?
彩:拓斗?どうしてそっち行くの?なんで逃げるの?
拓斗:逃げてねぇよ!今ちょっとこっち来んな!
彩:なんで?やっぱり私、色気ない?
拓斗:霞!どうなってんだこれっ!
霞:あんたのせいよ
拓斗:はぁ!?
霞:あんたが焚きつけるから、彩が「色気の出し方教えて」って私のところに来たの
拓斗:だからって…あれホントに彩なのか?あんなぽやっとしててゾワゾワするのがほんとに彩?
霞:あんた女を褒めるの下手過ぎない?
拓斗:褒めてねーよ!おい、今すぐ元に戻せよ
彩:どうして?私が色っぽくなったら拓斗、マズいの…?
拓斗:上目遣いやめろぉ!マズいから、色々マズいからやめてくれ!
霞:なんでさ。好きな子が色気増し増しになってんのよ?男なら喜びなさいよ
拓斗:喜べるかぁ!
彩:え?…拓斗って、私のことが好きなの?
拓斗:あっっ
霞:すぐに否定しなきゃねぇ~バカなんだから
拓斗:霞テメェ、ハメやがったな!?
霞:さーぁ?なんのこと~?
彩:拓斗、こっち向いて?
拓斗:嫌だ!断る
彩:拓斗…お願い
拓斗:そんな切ない声出すなぁ!!
霞:彩、今なら拓斗にギャフンと言わせ放題よ。日頃の憂さを思いっきり晴らしちゃいなさい
拓斗:霞!テメェ…!
彩:ふぅん…ねぇ拓斗?私を見て?そんな遠くじゃなくて、もっと近くで…
拓斗:寄るなっ
彩:私、拓斗より5歳もお姉さんなの、知ってる?だから、拓斗の知らない色んなコト、知ってるよ…?
拓斗:…俺の知らないこと?
彩:そう、拓斗の知らないコト。教えてあげるから、こっちに来て…?
霞:わー彩悪い顔してるぅ。…あ、でもそろそろ効果切れるかも
彩:え?
霞:あれ、言わなかったっけ?このポーション、効き目3分くらいなのよねぇ。もうそろそろ…
0:元の彩に戻る。
彩:ちょっと霞!そんな話聞いてないわよ!
拓斗:…彩か
彩:な…なによ
拓斗:…彩だな、うん、いつもの彩だな
彩:わ、悪かったわねぇ!ちょっと霞!ポーションおかわり
霞:だーめ。1日1ポーションまで。用法容量を守って正しく色気を出しましょう
彩:なにそれ!…って、あれ、拓斗?な、なんで睨んでるの
拓斗:お前、言ってたな?
彩:え、何を
拓斗:俺の知らないこと、知ってるんだって?
彩:え
拓斗:教えてくれるんだろう?お姉さん
彩:えっ…ちょ、こっち来ないでよ!
拓斗:お前が来いって言ったんだろ
彩:そうだけど、でもそれはさっきまでの話で!
拓斗:俺知らなかったよ。幼馴染のお前がいつの間に…俺の知らない大人の色々を経験してたんだ?そんなに経験豊富だったんだ?へー?ふーん?そう
彩:や、あれはちょっと調子に乗ったというか…なんか拓斗、目が怖いよ
拓斗:教えてくれるんだろう?楽しみだなぁ、彩先生の特別授業
彩:や、やだぁ…!いつもの拓斗じゃない!!あ、さてはあんたもこっそりポーション飲んだんでしょ!?
拓斗:あ?さっきからポーションってなんのことだ?
霞:私が配合した「色気が溢れ出て止まらなくなっちゃう」お薬のことよ
拓斗:お前…ロクなもん作らねぇな
霞:あら、でも色んな彩を見れて楽しかったでしょう?
拓斗:……腹が立つ。こいつにああいう顔させていいのは俺だけだ
霞:あらま
拓斗:……霞。そのポーションとやら、まだあんのか
霞:あるわよ
拓斗:いくらだ
霞:一瓶一万円
拓斗:買う
霞:まいどあり
彩:え?えぇ!?拓斗?霞!?
拓斗:攻守交替しようか、お姉さん?
0:霞、机にポーションを置く。拓斗すかさずそれを飲み干す。
彩:ちょっと!
拓斗:…甘ぇなこれ
霞:でも不味くはないでしょ
拓斗:不味くは…ねぇな
0:ここから拓斗の色気(演技)が溢れ出る。
拓斗:…彩
彩:ひっ!た、拓斗…?
拓斗:なんで疑問形なんだよ。…わかるだろ?何年一緒にいるんだよ。見慣れた顔だろ?
彩:近いっ!知らない!こんな顔する拓斗、知らないっ
拓斗:こんなに長いこと一緒にいて…まだお互いに知らない顔があったんだな
霞:私3分したら戻ってくるわね
彩:ちょ、霞!?
0:霞退場。
拓斗:彩
彩:み、耳元で喋らないで
拓斗:こっち見て、彩
彩:やだぁ!
拓斗:見ろって(軽く腕を引く)
彩:あっ…!
拓斗:ふっ。真っ赤。林檎みてぇ
彩:な、あっ…
拓斗:美味そう…食ったらこれ、美味いのかな?
彩:ふぇっ
拓斗:間抜けな声
彩:なぁっ…!
拓斗:(囁いて)可愛い
彩:ひぃ…!
拓斗:おかしいなぁ?さっきまでの彩はあんなに色っぽかったのに、今目の前にいる彩はただただ…可愛いなぁ?
彩:その声止めて!その表情も!
拓斗:どんな声?俺今、どんな顔してる?
彩:やだっ!心臓に悪いからっ
拓斗:彩、俺にドキドキしてるの?
彩:し、してないわよっ
拓斗:ふぅん?じゃあ…してよ
彩:なっ
拓斗:今までずっと追いかけてばっかだったんだ。たまには俺のことでいっぱいいっぱいになる彩を見せてくれよ
彩:何言って…
拓斗:彩
彩:な、なによ…
拓斗:好きだよ、彩
彩:えっ
拓斗:彩が好きだ
彩:嘘
拓斗:嘘じゃねぇよ
彩:だ、だっていつも私のこと、色気が無いとか嫁の貰い手が無いとか…からかってばっかだったじゃん!
拓斗:よく言うだろ?好きな子には意地悪したくなるって言う、あれ
彩:なあっ…!
拓斗:好きだよ、彩。10年…15年以上彩に片思いしてる。いい加減気づいてほしいんだけど
彩:そ、そんなこと…!言われなきゃわかんないわよっ
拓斗:じゃあいっぱい言うよ。彩がわかってくれるまで何度でも。…好きだよ、彩
彩:あ…あ…そ
拓斗:なに?言葉になってないんだけど?
彩:そ…その色気しまって!話はそれからよっ!!
拓斗:……俺、色気なんて出してないんだけど?
彩:な、何言ってるの!ポーションの色気駄々洩れじゃない!
拓斗:そんなもん…なあ?
0:いつの間にやら戻ってきた霞。
霞:そうねえ…告白したあたりから切れてたわよ
彩:霞!?いつの間に!?
霞:言ったでしょ、3分経ったら戻るって
彩:な!だってっ…え?じゃあ…
霞:ったく。人がいるってのに平気で告白するなんて。拓斗そこまでデリカシー無いバカだったの?
拓斗:せっかくのチャンスは生かさないと。…ほら、俺が目を離した隙に俺の知らないところでいろんな経験積まれても困るし。なあ、彩?
彩:なぁ…!
拓斗:ポーションの効果は消えた。……さあ彩?返事を聞かせてもらうぞ?
彩:な……なんでこうなるのよぉぉ!!
色気の出るポーションは要らんかえ? 3人用台本 ちぃねぇ @chiinee0207
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