Episode11 救国の神子





『此処から、逃げましょう』



その声を放ったのは、優しい声の女の子だ。


“リコリス”の目の前に立っては悲痛な表情をしている淡いピンク色の髪色にロングヘアを軽く束ねてパッチリ目をした空色の瞳をしており、神官風の服装を着て腰には白色の羽根の翼がある少女である。



『リコリス、此処は残酷な所ですっ……!何故、私達が……』


『わかったよ、アンジュ……此処から逃げようっか』


『はいっ』



“リコリス”はアンジュの手を掴んで黒色の施設の建物の中を警戒しながらも、外へと繋がる裏口の通路へと向かう。



『リコリス、もしも、無事に外に出れたなら……一緒に、お菓子を作ったり、お茶会をしたり、恋バナをしたり………リコリスと一緒に、したいです』


『うん、私もだよ!アンジュ』



“リコリス”はアンジュと共に外に出れるって所で、機械の狼の集団に囲まれては兵士のような武装をした人達に囲まれてしまう。



『ぁ……』


『……………アンジュ』


『は、はいっ』



“リコリス”は懐に入っている時計の針の音が止まったのを確認してから、アンジュの両手を優しく自身の両手で包むとアンジュの顔を真っ直ぐと見つめる。



『り、リコリスっ?』


『ごめんね、約束守れないや………でも、大切な“唯一無二の親友”を死なせたくないし………実験にも使われたくない!だからっ』


『あ、いやっ、やめてっ………リコリスっ!!』



“リコリス”は無数の銃で撃たれながらも、最後の力を絞ってはアンジュに転移術を施して何処かへ飛ばした。


“死因”、“アンジュを逃がす為にヘイトを自分に向けては、アンジュを転移で逃すが無数の銃で撃たれながら亡くなる”。



リコリスは真夜中に目を覚ましては起き上がり、何回目かの“死役(しにやく)”で出逢ったアンジュを思い出していた。



「アンジュ……」



アンジュとの出逢いは、今までの中でも違っていた。

何処となく、空虚になりかけていた心を取り戻してくれた唯一無二の親友“”たった。


アンジュ自体が、不思議な存在だったからというのもある。



「この世界にも、居るのかな……って、思ってしまうのは皆が“他の世界線”の皆と似ているからってのもあるんだろうけど……」


「もしも、………ううん、居るなら………また、友達に、なりたいなぁーって……ただの我が儘だけど………………」


「逢いたい、な」



リコリスはベッドで座り込んでは、膝を抱えて顔を膝に押し付けては少しだけ悲しくも寂しくも感じていた。



もう、どれぐらい巡っているのかさえも今では分からない。



次の日となり、グンナルにインカムで起こされては会議室へと呼ばれて向かったリコリスは会議室の扉を開けては奥に座っている人物を見ては固まっていた。



「リコリス、此方は救国の神子である“アンジュ”様ダ」


「“初めまして”、救国の神子をしております“アンジュ”と言います」



アンジュは優しく笑みを浮かべていて、“あの時”の“アンジュ”と重ねて見えたリコリスは唖然とした表情をしていた。



「救国は最近出来たばっかりでして、まだ知られてはいないと思います…」


「だが、その発展は目にはるスピードでもあり治安も良いではないカ!だからこそ、同盟を結びたいと思ってナ」


「ありがたい話です、それは私達一同も嬉しい限りですよ?」



アンジュの隣には黒いフルフェイスのヘルメットのような物を被った黒い軽騎士か立っていて、何処となくリコリスを見ているのような視線をリコリスは感じていた。



「では、快く同盟を結びましょう」


「あぁ、条件も良すぎるぐらいだからナ」


「ふふっ、それはお互いさまです」



アンジュと護衛らしき黒いフルフェイスは会議室から出ていきグンナルは書類をまとめながら、一部の書類をリコリスに手渡すとリコリスは受け取る。



「一応、念のために“監視”を頼んだゾ?」


「え?」


「一応、レーヴェにも伝えはいるが……それでも、リコリスにも“監視”を頼みたいのダ」


「あ、うん?構わないけど……」



リコリスは受け取った書類を見れば、救国についての内容と今回の二人についての内容も書かれていた。



(アンジュ、そのままだったなぁ)


(ライカさんみたいに、一部が違うって感じとかではなかったし……)


(不思議な事もあるんだねぇ~)



リコリスが会議室を出て階段の所でシャルルと鉢合わせて話をしていると、周りが騒がしくなったのと上の階から走ってくる音が聞こえてくる。


それと同時に、リコリスの持っている懐中時計の針の音がノイズが入るかのように針が止まったが動き出した音がする。



(え?)


「退けっ!!」


「っ!?」



リコリスの真上から軍人の変装をした“観光客(スパイ)”が手摺りを越えて落ちてくるが、リコリスにぶつかる前に黒いフルフェイスの人物がリコリスの真横に来ていてリコリスの腕を掴み自身へと引き寄せては抱きしめていた。



【エラー、エラー】


【覆された、覆されてしもうた】


【直ぐに、新しい“死因”へと書き換えや】


【イレギュラー過ぎるで、これは】






【ーーー】







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とある死役サンと繰り返す世界の奇譚禄 天羽ねねこ @yukijana_jamu

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