Episode10 墜ち逝く意識の中で
その日の真夜中にリコリスは軍事国家を出発しては転移の能力を使用しては、興国との境界にある国境沿いから少し離れた場所に“白い建物”を見つける。
(あの中に、禁止されている研究が行われているって事だよね)
(それによって、巻き込まれて死ぬ)
リコリスは“白い建物”の中をダクトで移動しながら、資料室と思われる場所に辿り着いては本棚などを音を立てずに調べる。
その資料の中には、様々な非道な事が此処では行われている事が記されていた。
リコリスは小さな端末を使っては、その資料を写真として残してはデータを“情報局”へと転送させると同時に、懐に入っている懐中時計の針の音が止まっていた。
それと同時に、部屋に“何かの霧”が充満してきてリコリスは口元を袖で塞ぐが微かに吸ってしまったのか、毒を飲むよりも喉が焼けるような締められるような感覚が襲ってきてリコリスは慌てて外へと出る。
(痛い、いたい、イタイ)
(苦しい、くるしい、クルシイ)
とんでもない激痛が身体中を弄るように駆け巡っていて、リコリスは“危険”だと感じて死にものぐるいで其処から離れために急いで動いていた。
泉へと辿り着いたリコリスへと残酷な仕打ちなのだろうかと思うようなタイミングで、耳に身につけていたインカムが鳴ってリコリスはスイッチを入れる。
「は、い………こち、…、リコリ、…で、す」
《リコちゃん?どうしたのっ?声が途切れ、途切れでっ………まさか、何かあったんじゃっ!?》
「シャル…さ…、ごめん、なさ…」
《待っていて、今其処に向かうからっ!》
「来た…、ダメ、で…」
《なんでっ!?》
「多分、こ、…は感染、…ま…」
《っ!?》
リコリスは意識が朦朧としながらも、シャルルが此処へと来ないように説得しながらも万が一の事を考えては泉を見つめる。
「シャルル、さ…」
《もうっ、喋らなくて、いい、からっ》
「誕生日、デートの、…、楽しかっ……す」
《っ………ぅ》
「ありがと…、ござ…ま…」
《リコリスっ……》
「グン……さん、も、花見、……しかっ…で…」
《馬鹿がっ………》
リコリスはインカムを外してから、目の前にある泉へと身を落として深く沈んでいきながらも激痛に堪えながらも目を閉じる。
リコリスの意識がブラックアウトする前に、リコリスは不思議な光景を一瞬だけ見えていた。
それは、雪の中で自分が立っては泣いていて周りには“皆”が血を流して倒れていた。
(今の、は………な、に?)
リコリスの意識がブラックアウトしてから直ぐに浮遊感を感じて目を覚ませば、あの花見会が終わって皆が酔潰れて眠っている庭園の場所になっていた。
「……リコリス」
「あ、グンナルさん?」
「明日の頼んでいた仕事なのだが、行かなくてもいいからナ」
「え、なんで?」
「色々と他の情報によって、彼処が非道な実験場となっている事が分かったのダ」
「あ、なるほど?」
「だから、行かなくていいゾ」
グンナルの表情を見たリコリスだが、深く聞いたらいけないと分かって何も言わずにいればグンナルはリコリスを優しく抱きしめていた。
「グンナルさん??」
「……………なんでも、ないゾ」
「なんか、少し怒ってます??」
「まぁ、興国に対しては怒っているゾ!彼処は、非道な実験を何度も行っているらしいからナ!隣国で行われているならば、それを止めるのも我々の仕事というモノだろウ?」
グンナルはリコリスから離れると、庭園の入口で立っている黒色の生地と金色の装飾が施された笠のようなものに黒寄りの灰色の垂れ幕のようなモノが付いた被り物をしており、微かに見れる角度で黒色の髪色に少しぱっつんなセミロングで軽くジト目に三白眼のピンク色の瞳をしており、黒色の中華風を模した軍服を着ている背の低い青年を見つめる。
「そうだろウ、クーロン」
「そうやなぁ、奴(やっこ)さんには強めのお灸を供えなアカンわ」
「帰ってきていたんだね、クーロンさん」
「おん、今帰ったわ」
クーロンは手に持っていた書類をグンナルに手渡してから、周りを見ては軽く呆れながらもリコリスの方を見る。
「なんや、花見会をしておったんか?」
「うん、久々に皆で騒いだからなのか………こんな状態に」
「まぁー、最近は色々と忙しかったわけやから………しゃーなし、やな」
「ご苦労様だゾ、クーロン!これは、良い情報でもあり………悪い報せダ」
「どーも」
グンナルとクーロンが話をしているのをリコリスは少し離れた所で眺めていて、頭の中では次の“死亡日”が近い事と“死因の内容”に悩まされていた。
(日付が近いってのもアレだけど、この“シャルルと階段の所で会話をしているの所で、すれ違って逃げてきた観光客(スパイ)に巻き添えで階段から落ちて亡くなる”って………)
(まぁ、さっきの内容のよりかはマシなんだろうけど………これは、これでトラウマもんでしょ)
(観光客(スパイ)を追いかけているのは、確実にレーヴェだろうし………レーヴェにとっては、負い目を感じるんじゃ?)
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