ワンルーム
そっと夜風に身を預けた。透き通った風が、煙をどこかへ運んで行った。
あのうだるような暑さの中で、俺は死ぬはずだった。カビの生えた敷布団は拘束具のように俺を捕まえていた。俺はただぼんやりと、黄ばんだ雲を見つめていた。
俺は、ただ死にたかったんだ。けれど、あいつはそれを許さなかった。俺の手首を誰かが引っ張ったとき、俺はもう戻れないんだと思った。そこで、インターホンが鳴った。俺は湿ったシーツの上で、赤子のように息をした。
そっと、夜風が身体をさらった。たばこの煙は、どこかへ飛んでいったみたいだった。
誰かの日記 山田 @genziro
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