誰かの日記

山田

ベッド

 ぬかるんだ泥道をヨロヨロと進んでいた。垂れ下がった首がズキズキする。もう疲れた。私は立ち止まり、黄土色のベッドに身を浸らせた。案外、悪くない。生暖かい汚泥が力ない身体を包み込む。寝入りそうな私の耳に、誰かの詩が聞こえてきた。母親に抱かれた赤んぼのような顔で、私はその詩を聞いていた。

 もうちょっと、行ってみよう。重りを含んだ身体を起こし、私はまた足を動かした。まとわりついた泥も、いずれは乾くのだろう。遠い月を見ながら、そんな思いを浮かべていた。

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