シャツと背の間

aoiaoi

シャツと背の間

シャツと背の間駆け抜け風薫る


五月雨さみだれと辞書の文字列眺めゐる


ロボットの言葉を信じ梅雨寒し


夏服の胸の白さの痛きほど


心拍で恋と気づきて夏祭


ジーンズの膝触れそうにかき氷


目の奥の言葉さがして遠花火


もがくごと身を浮かせたる火取虫ひとりむし


風鈴を聴いてゐる足絡め合ひ


の爪の形覚える夜半の秋


物音のなき朝秋思しうし始まれり 


秋風のホーム空似の背を眺む


文字にしてが心知る野分のわきくる 


来し道も行く道もなく黍嵐きびあらし 


白き肌なほ白きまま雨の月


泣いたこと隠して歩く笹子ささこ鳴く


冬木立まなざし離れ戻りきて


本心の言葉短しおでん


願ふこと探さず冬の星流る  


水細めカップをふたつ洗ふ春



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

シャツと背の間 aoiaoi @aoiaoi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説