たんぽぽのぽぽ 🟡

上月くるを

たんぽぽのぽぽ 🟡





 たんぽぽと聞くと反射的に思い浮かぶのがリフレインの代表のような掲句。

 俳壇の大先輩がこんなに可愛らしい句を詠まれたことがなんとも愉快です。



 ――たんぽぽのぽぽと絮毛わたげのたちにけり    加藤楸邨



 そのたんぽぽ、近ごろ(かどうか分かりませんが)ほぼ一年中咲いていますよね。

 げんに愛犬が存命だったころ、真冬の二月に畦道で見つけ驚いたことがあります。


 だって、当地は自慢じゃありませんが零下十度前後まで下がる高原都市なんです。

 そんな厳寒地の吹きさらしに、黄色い一輪が健気に咲いているなんて、ねえ。🌥️




      🐕




 その強靭なたんぽぽが、じつは、黒船と一緒に海外から持ちこまれた外来種だったと知ったとき受けた、軽い失望を伴う衝撃、あれはなんだったのかしら。(´艸`*)


 たぶんですが、日本古来の在来種(日本タンポポ)が外来種(セイヨウタンポポ)に淘汰されつつあるわが列島の植物界、というスリコミのなせる技かと思われます。


 でも、そういう認識自体が古いこと、今回、たんぽぽのことを調べて知りました。

 すごい勢いで日本列島を席捲したのは、人間の活動と連関しているんだそうです。


 すなわち、経済優先で野山をきりくずしてビルを建て、土という土をアスファルトで覆ってしまったから、蝶や昆虫の棲み処がなくなり、受粉ができなくなった……。

 

 受粉なくして単体で増えていくタイプの外来種はコンクリートのわずかな隙間にも進出し、結果として、あたかも在来種を外来種が駆逐しているように見えたのです。




      🗾




 それが衰亡へか再生へか(笑)のプロセスで土が土に還ると、ふたたび蝶や昆虫が集まって来て活発な受粉が行われ、現在は在来種と外来種が共存しているそうです。


 それどころか、いつしか両種の交雑も行われるようになり、いわゆる雑種(適当な表現とは思えませんが (*ノωノ))も少なくないのが、たんぽぽ界の現状らしいです。


 つまりは、みんなの地球を独占し縦横無尽にふるまう身勝手な人間の様相を、寡黙な植物に教唆されているという図式でありまして、なんともはやな話ではあります。




      🏙️




 ちなみに、両者の見分け方のポイントは花の裏側にあって、花びらが真っすぐ伸びているのが在来種で、イナバウアーみたいに反り返っているのが外来種だそうです。


 種を問わずたんぽぽには健胃・利尿・催乳の効果があり、ビタミンも豊富なので、若葉や花の蕾、根が薬用や食用(珈琲☕も)に利用されていることも知りました。


 つまりは、たんぽぽはたんぽぽであって、在来・外来・雑種の区分けは不要という結論に落ち着きましょうか、はい、たんぽぽのまん丸い花のように円満に……。🌞




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