手遅れになってもなお抜けない「とかいう」感の怖さ

 実家の蔵にしまわれていた「祟るとかいう箱」、その処分に迷う、とある兄弟のお話。

 まさにホラーもホラー、真っ直ぐこちらをビビらせてくれる真正のホラー掌編です。
 軽い気持ちでタブーを破った結果、大変な目に遭ってしまう……というのはある意味期待通りの怖さなのですけれど、そのうえでなお恐ろしいのがその展開の仕方。
 あんまり言うとネタバレになっちゃうため控えますが、まさに「紹介文の欄に書かれていることそのもの」の怖さが確かにありました。

 予想を裏切る、というかなんというか。中盤まででふんわりイメージしていた何か被害の範囲のようなものを、サクッと上回ってくる感じがたまりません。
 なんというか、「あれっこいつ思ってたよりだいぶ危ないやつじゃない?」的な。

 特に最後の最後、兄弟の置かれた状況が好きです。
 この閉塞感……これじゃもう本当にどうしようもない……。
 本当に真正面から怖がらせてくれる、大変気持ちの良い(怖い)作品でした。