鈍さが人を幸せにする

 私が幸せであるために必要なものは、『適度な鈍さ』だと思っています。


 運がいい人と悪い人というのは、確かに存在してしまうものなのかもしれません。でも、恵まれないことを嘆いていてもどうにもならないのが人生でもありますよね。それから、五十点で嬉しくなれる人となれない人では、前者の方が幸せになりやすいのは間違いないことだと思います。


 たとえば、こんな話があります。


「その服、可愛いね」


 友達にこう言ってもらえたとき、素直に「ありがとう、嬉しい」と思える人がいます。逆に、「服が可愛すぎて似合わないと言われているんだ」と受け取ってしまう人もいるんです。


 もしかしたら、本当に後者のような嫌味を潜ませた一言である可能性もあるかもしれません。ですが、それを受け取ったところで、誰も幸せになれない。素直に褒められたことを喜べる人間の方が、絶対に幸せに近づけると思います。不要なところに思考を割いて疲れるのはもったいない。いいことをいいように解釈して生きていった方が、絶対に楽しいんです。鈍くありませんか。


 それと、自分と相手を比べてしまうのもよくありません。世の中は決して平等ではないので、自分より恵まれた人を探したら絶対に見つかります。その人と自分を比べて、「良いなあの人は」「私もああなりたい」と思ったところで、私達はその人になれませんから、ないものねだりで虚しい気持ちになってしまうだけです。


 こんな言い方をしてしまうと語弊があるかもしれませんが、他人の事情や状況なんて無関心でいるのが一番です。自分の世界を見つめている方がきっと幸せです。こちらにも、鈍くありましょう。


 こんなことを偉そうに書いている私ですが、私もよく言葉を深読みして勝手に傷つきますし、人と自分を比べて「どうして自分には……」と考えることもよくあります。そんなときはもう思考をやめてしまうのが一番です。寝るか、ゲームや動画や音楽などの受動的な楽しみを探して、そっちに集中することにしています。これも鈍くなろうと努めてのことなのかもしれません。


 いつだって、自分を幸せにしてくれるのは結局は自分でしかありません。自分の機嫌を取れる自分でありたいですね。

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