第60話 3部隊
最敬礼が進化していることについて、俺は、気にしないことにした。彼女たちも、真剣に考えた上でやっているに違いないし...
余計疲れた気がするが、頬を両手で叩き、気合いを入れ直す。それから少しして、首都イスパニアにある宿屋に転移し、部屋を警護していたセイラさんに声をかける。
「部屋の警護ありがとう、セイラさん。ミィちゃんたちも戻っているようだね。」
満面の笑みを浮かべて、手を振り、返事をするミィちゃん。ペトラさんは、ぺこぺこ何度も頭を下げている。二人の性格が、はっきり出ているな。
「ただいまーっ!ペトラとたくさん情報集めたよ!」
「ただいまです。主様。私も頑張りました!」
「おかえり、ミィちゃん、ペトラさん。二人の情報に期待しているよ。ルナさんとアルマさんも戻って来てるし、二度目の情報交換にしようか。」
今回は、簡潔に、情報と連絡のやり取りだけが行われる。増員組の受け入れの準備もあるし、夜にまた、冒険者ギルドに行かなくてはならない。
今回の情報は、以下の通りである。
・首都イスパニア支部、闇ギルドの構成員10名殺害ルナ
・闇ギルドで取り扱われていた商品や、金の押収ルナ
・アルディア王国所属と思わしき暗部と交戦。捕縛したが、毒を飲んで自害される。(アルマ)
・闇ギルドの情報は、全て口頭のため、資料や書類の類いは一切ない。(アルマ)
・拷問による情報収集で判明したことが多いため、改めて書面にまとめる。(ルナ・アルマ)
・マイク・フォン・エアリーズは、王立高等学園の学生であることが判明。人物像は、別途書面に起こし、全員に共有する。(ミィ)
・アルディア王国の奴隷商は、エアリーズ公爵がオーナーである。(ペトラ)
・マイクは、壁外調査に参加する。その護衛に、公爵家から兵が10人派遣される。(ミィ)
・性処理兼壁役として、奴隷の女性を数十人を壁外調査に同行させる。(ペトラ)
・エタンセルから9名が増員される。(ナイン)
・今夜、ローレン公爵家長男ジャンコールによる、クレイモラン領の調査の同行する冒険者との顔合わせがある。(セイラ)
「優秀すぎるだろ、皆んな...半日で情報集まりすぎ。」
俺の言葉に、一同胸を張ってドヤ顔を決める。誇らしい限りだよ、まったく。
今回の議事録は、俺が作成している。その間、ペトラさんとアルマさんは、この宿の空き部屋の確保と準備を進めている。
「ナインさん。増員ということは、同時作戦を展開するのかしら?」
「さすが、ルナさん。これだけ、情報があると、俺含めた6名だけでは対処できない。3つの部隊を作る予定だよ。」
ルナさんからの質問に答えた俺は、3つの部隊の選定を発表する。
・主に、情報収集を行い、精査する部隊
ナイン、セイラ、ペトラ、シェリー、ルイズ
・主に、魔の森を調査を行う部隊
フレイア、アイリーン、ルナ、アルマ、ノーラ
・主に、諜報活動及び工作を行う部隊
ミィ、アニ、カーラ、アマンダ、ロジェ
「この宿の部屋を3つ借りたから、各部隊に別れて使用すること。情報は常にメール及び書面で共有する。特殊なインクを使ったペン以外の記入は許可しない。以上かな。何か、あればいつでも聞いて?」
これで、1つの作戦に集中出来る。首都イスパニアの攻略には、相当時間がかかるだろうな...
「あの...アタシは、ナインさんの表の護衛という認識でいい?」
「うん。セイラさん、よろしくね?」
「むふー、命にかえても、その役目全うする。」
あ、あれ?妬ましい視線がセイラさんに集まる。そんな視線を中指を立て、笑顔で跳ね返すセイラさん。
俺の護衛の役目に、そんな血相変えなくても...何も言わない方が良さそうだ。絶対に巻き込まれる。
勘違いから始まる反逆王 わか @waka01
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます