第438話 研究者の屋敷13階
ドロップ品は風で集めてストレージにポイしたので、そこまで時間はかからなかった。
その他隠し要素が無いかの確認をしてから13階へ。
「にゃぅにゃ」
13階では金属の獣型ドールが出てくる。
今までの獣型とは違って、力強くて素早い上に体毛に刃物状の金属が混じってるので体当たりでも下手すると重傷になったりするのだ。
「キュー?」
金属コーティングなのに素早い?というヤクシの疑問は、今までの探索者の愚痴り所でもある。
12階までの獣型ドールは普通のウルフくらいの強さだったのに、急に強さが豹になるのなんなん?というのが皆の意見だ。
因みに、ソロでの強さを比べたときのウルフと豹という差を言ってるらしい。ウルフは群れが怖いのであって単体だと犬と変わらないが、豹はソロのハンターだからということらしい。
小さくか弱い猫の俺からしてみたらどっちも大きくて怖いわぁ。
「少なくとも倍くらい強くはなってるようだな」
獣型ドールは警備員ドールとセットのことが多いので気をつけないとぉっ!?
「みゃ!?」
「マスター!」
急に体に衝撃が走り、軽く吹っ飛んだが、体を捻って壁に着地、そのまま壁を蹴って衝撃の正体から離れた場所に着地した。
どうやら罠察知で避けた落とし穴から獣型ドールが出てきて俺に突っ込んで来たようだ。
気配察知が効かなかったのは罠の中に隠れてて罠として認識されてたからっぽい。スキルさんそういうのはちゃんと説明文に書いといて欲しい。
獣型金属ドールの見た目はウルフ系だが、耳だったり尻尾だったりが刃物のようになっている。金属を纏ったことで爪の攻撃も鋭さを増し、重さが増えてるくせに攻撃速度は獣型ドールより上なのだ。
グレイが盾で牽制しつつ、棍棒で打撃を入れてる間にヤクシがやって来た。
「キュー?」
マスターハゲとか大丈夫そー?と聞かれて体を確認。
「うにゃ」
魔力ガードで防げたっぽい。
体当たりの衝撃によるダメージが無いとは言えないので、自分でヒールを使った。
『反応遅れるとはー思ってなかったー』
マリモちゃんがちょっと悔しそうだが、一番悔しいの俺だからな?普通に吹っ飛んだんだぞ?不意打ちが効いてしまう猫なんて修行が足りない!
「にゃふ!」
仕返し!
雷の魔力で体表を覆い、雷の鎧を纏った状態でダッシュして軽くジャンプ、縦回転を加えて……
「うにゃ!」
雷かかと落とし!
説明しよう!雷かかと落としとは、雷を纏い高い位置から強力な一撃をおみまいする技だ!結果、敵は感電死するっ!
「いや、今のケツ……というか猫のかかと何処だ」
よぉぉしっ!勝った勝った!かかと落とし最強ぉっ!
「うにゃ」
流体金属とかいうのドロップしてる。
猫のかかとをご存知無いグレイには後でご主人のにゃんこ講座を受けてもらうとしてだな、流体金属という魔力を流すことで固さ調節が出来る金属が手に入ったんだ。
調べてみると既存ではあるけどなかなか出回らない金属らしい。まぁ大抵が獣型金属ドールからのドロップなので、数が少ない理由はお察しである。
獣型金属ドールが出るようなダンジョンは錬金術系ダンジョンであり、大半はギミックありの不人気ダンジョンなのだ!
ダンジョンのある世界に猫として転生した件 ユイツ @roku56
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