Epilogue

 研究室の扉を叩く音。叩き方のクセから、すぐにソーヤだとわかった。


「どうぞ」

 

 僕が答えると、扉が開かれる。


「大ニュースだ。問題の三号機、黒鬼のパイロットが見つかったんだってさ」

「それはすごいですね」


 ソーヤは入るや否や、僕の目の前の椅子に座った。


 ゾルダキルシリーズの3号機にあたる、対エレメント兵器人型ゾルダキル・黒鬼型一番機『黒鬼』は悪魔の機体と言われていた。


 誰が乗っても上手く操縦できない。赤鬼型を凌ぐスペックで開発されたが、それを発揮できない。そういう機体だった。


 その機体を動かせるパイロットが見つかったというのだ。喜ばしいニュースである。しかし、僕は疑問だった。そのようなニュースを、ソーヤがわざわざ僕に言いに来るとは思えない。


「本当の用事はなんですか」

「あ、疑ってるね。黒鬼の話が本当の用事だよ」

「……と、言いますと?」

「選ばれたパイロット、14才」

「は?」


 14才と言ったらまだ中学生ではないか。ゾルダキルのパイロットは若くても訓練学校の3年生から選ばれる。なぜ、14才という子供が選ばれたのだろう。


「そして、彼の名前は桂木トオル君だ」


『伝言してほしい人がいるんだ。トオル君とミオちゃん。わかる?』


 ソラが仲良くしていた子供の名前に違いなかった。


 僕の心の奥底で、何かが動き始めた気がした。

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ゾルダキル プロジェクト:THE SKY FALLS 雨瀬くらげ @SnowrainWorld

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