女神クエスト！！

第3話 本物の六極

「あ、あんた！早く逃げた方が良いって！死んじゃうよ！」

「は？逃げるわけねえだろ。逃げるのを勧めるならイメロンに言えよ、しばくぞ」

「アタシがこんな楽しめそうな状況で逃げるわけねえだろ！メモリ！次横槍入れやがったら先に殺すぞぉ！」

「ご、ごめんなさい‥‥‥」

　メモリは善意でソーヴィに逃げるように言ったが、ソーヴィには逆効果でしばくぞと言われてしまう始末。

　さらには六極のイメロンの怒りを買いそうになり、もう余計な口出しをしないと誓ったメモリはコソコソと悍ましいほどの殺気を放つ二人から離れたのであった。

「ったく‥‥‥ソーヴィの魔術とか見れたらラッキーぐらいに思ってたけど、アタシの予想の遥か上をいく強さだったわ」

「そりゃどうも。所でお前、最初の時とキャラ違いすぎね？」

「あぁ、初対面のやつにはか弱い少女を演じてんだよ。んで、ここまで誘導してメモリのやつにボコさせて金品奪うって感じ。メモリより強そうなやつはアタシが殺るけど」

「ふーん。お前中々ゴミみたいな性格してんな」

「よく言われるぅ〜。って、おい！無駄話はこんくらいにして早く殺り合おうぜ！」

「あぁ、戦り合おうか」

　両者の殺気が強くなる。

　ソーヴィとイメロンの魔力同士がぶつかり合い、地面には両者を中心に波紋のような模様が出来ていた。

「っらぁ！！」

「おっと、見た目の割に蹴りの威力が高いな」

「ヒュ〜♪」

「んじゃあ、おかえし！！」

　先に動いたのはイメロン。

　魔力による身体強化で大幅に強化された蹴りを左腕でジャストガードするソーヴィ。

　そのままソーヴィはイメロンの腹部目掛けて身体強化による右ストレートを放った。

「転移の刻印（ラジクルマーカー）」

「おろ？」

　ソーヴィの右ストレートが当たる直前、イメロンが視界から消えて最初の立ち位置に移動していた。

(ふぅ、あっぶね〜反応速度がえげつねえな。いや、雑魚ばっか相手してたからアタシの腕がにぶったか？)

（うわ、完璧に当たったと思ったけどな〜転移系の固有魔術か？めんどくせえ魔術だなあ、おい）

　どちらも強者。故に今の一瞬の攻防で互いの実力を大体把握していた。

「ん？魔力が増えた？」

「おお、気づいたか？魔術を使ってお前の魔力量を増やしといたんだ。これでめちゃくちゃ俺より劣るくらいから、割と俺より劣るくらいになっただろ？」

「おい‥‥‥アタシを舐めすぎだろ」

　自身の魔力量が急に増えたことに違和感を持ったイメロン。

　その原因がソーヴィと知ると、舐められていると思ったイメロンは怒りのあまり我を失いそうになった‥‥‥が、ふと疑問に思った事がイメロンの怒りを鎮め冷静にさせた。

（おい、おいおいおいおい。こいつ、アタシにいつ魔術を使った？）

「考え事とは余裕があるなあ！シッ！！！」

「ちっ！転移の刻印（ラジクルマーカー）！」

「ここだろ！！」

「！！ぐぁっ！」

「ははっ、ビンゴ！」

　隙だらけだったイメロンの顔面にパンチをうつが、再びイメロンの魔術により再び攻撃を避けられるソーヴィ。

　だか、避けられるのが分かっていたソーヴィはイメロンの転移先を読んで魔力弾を放った。タイミングはドンピシャ。

　魔力弾を当てられたイメロンは数メートル先まで吹き飛ばされる。

「ちっ、もう転移の刻印（ラジクルマーカー）に慣れたのかよ」

「ああ。お前のその魔術、魔力による印を付けた場所にしか飛べねえんだろ？」

「‥‥‥当たりだ。クックックッ、お前やっぱ強えな！興奮しすぎて股間がびしょ濡れだぜ！」

「はぁ、濡れてんのがパイム様だったらめちゃくちゃ興奮してたんだけどな‥‥‥」

「アタシとの殺し合い中に他の雌（おんな）の名前を出すなんてデリカシーがねえやつだな！」

「パイム様以外の女にどう思われても別に気にしねえし。早くかかってこいよ」

「ムカつくけどお言葉に甘えさせて貰うぜ！転移の刻印（ラジクルマーカー）！」

「何処に転移しても無駄だ！っ！」

　イメロンが魔術を使用するのと同時に、ソーヴィはつい先程イメロンが転移の刻印（ラジクルマーカー）によって転移した場所に向けて魔力弾を放ったが、そこにイメロンは転移をしていなかった。

　イメロンは転移をするフリをしてソーヴィの背後に近づいていた。

「お前みたいに強い奴ほど引っかかるんだよなぁぁ！！」

「ちっ、お前の魔術怠すぎんだろ！」

「褒め言葉として受け取っとくよ！万貫の刻印（ストレイトマーカー）！！」

「っ！転移以外の効果もあんのか！？」

「貫け」

「しまっ！がぁっ‥‥‥！！」

　直ぐに振り返りイメロンに反撃しようとしたソーヴィだったが、それよりも速くイメロンの魔術が発動された。

　ソーヴィの腹部に付けた刻印に向けて放ったイメロンの魔力弾は、魔力を腹部に集中させたソーヴィの体をいとも容易く貫いた。