第八章「魔力基礎」
あの後翔太達はカーマッカ王国で冒険者ギルドという協会に入ることに成功し、ビギナー冒険者としてクエストをこなしていくのであった。
翔太「せぇぇぇぇい!!」
剣を縦に振り落とし、ザンッ!という音を立てモンスターを倒した。
翔太「フゥ~。これでクエストはクリアだな。」
雹美「えぇ。お疲れ様。」
翔太「あ!」
翔太はふと自分が死ぬ前のことを思い出した。
そういや俺ってどうやってあんなジャンプができたんだ?もしかしたら雹美なら知ってるかもしれない…!
雹美「どうしたの?」
翔太「あー…えっとな。前にお前ガイジャと少し戦っただろ?そんときに人間とは思えないほどの速くて高いジャンプをしただろ?あれってどうやるんだ?」
雹美「あー!そういえばそれを教えてなかったわね。あれは「魔力変換」って言うの。」
翔太「魔力変換?」
雹美「そう。魔力の力を変換して脚力とか腕力に変える力のことよ。例えば足に魔力変換をすれば、脚力が強化されて普通のジャンプの何倍ものジャンプをすることが出来るわ。」
翔太「なるほど!」
雹美「でもこれに関してはちょっと難しいわよ。魔力の流れを感知しなくちゃならないの。」
翔太「魔力の流れ?」
雹美「えぇ。人には血が流れてて血脈があるでしょう?それと同じ容量で血脈の中に魔力も流れてるのよ。その魔力を感知して、魔力の流れをコントロールするの。魔力をコントロールすれば腕に集中的に魔力を流し込んだり、足に魔力を流し込んだりすることが出来るの。」
翔太「なるほどなぁ。結構化学なんだな。」
雹美「まあそうね。化学みたいなもんだわ。」
翔太「でも肝心のやり方がまだ分からないんだけど…」
雹美「これに関しては私ももう分からないわ。無意識でやることができるようになったから。」
翔太「まじかよォ。」
雹美「前みたいに魔力の流れを感じるんだっていう気持ちになればいけるわよ。」
翔太「いやあれはたまたまでなぁ…」
雹美「一回やってみなさい。」
翔太「あーうん」
そう言われ俺はやってみることにした。
魔力の流れを感じるかぁ。でも少しわかる気がする。前に技を放った時魔力を出しているっていう感覚にはなれた。それと同じようにやればもしかして…。
そう思い俺は集中してみた。
すると微かに翔太の体の中で変化が起きていた。全部位の血脈に新たな細胞ができていた。その細胞こそが魔力であり、これを感じることが出来れば魔力コントロールをすることができる。
どんどん魔力が体の中で増えていき、魔力数値も上がってきた。
翔太「……!この感覚!もしかして!」
雹美「え…嘘でしょ?!ちょ………」
しかし翔太が感じていたのは魔力ではあったがそれをコントロールする力ではなく、放出する力を使っていた。
翔太「これだろ!!」
そう思い、翔太は自分がわかったことを具現化した。
その瞬間翔太から膨大な魔力が放出され、翔太の周りが一気に魔力に押しつぶされた。
雹美「な、なんという魔力の量なの?!前みたステータスでは2700だったじゃない!少しレベルアップしただけでこんなに上がるものなの?!」
雹美はメラメラと感じていた。
雹美「は、早く魔力放出を止めなさい‼️」
翔太「うぇ?わ、わかったよ…!」
そう言い俺は魔力放出を止めた。
雹美「もう!それじゃないわよ!あんたが今やったのは魔力放出!私が言ったのは魔力変換よ!」
翔太「そ、そんなこと言われたって感じてやったらこうなったんだから仕方ないだろ!」
雹美「はぁ~。つべこべ言っててもキリがないわ。気を取り直してまたやってみなさい。魔力放出の感覚は掴めたでしょうから違う感覚をつかみなさい。」
翔太「おう。」
それでは気を取り直してもう一度…
翔太は最初だけさっきのやり方でやり、感じ方を少し変えた。するとさっきとはまた違う感覚を味わった。今回は心臓の音がよく聞こえそして血流の音がよく聞こえた。そして血脈だと思われるものが心の中で見えてきた。そしてそこには少し紫色の脈のようなものが見えた。
…!見えた!これだ!これが魔力だ!ここの魔力は…右腕の上腕二頭筋の辺りか?そこに集中してみよう。
そう思い俺は右腕の上腕二頭筋の辺りに力を入れ集中した。すると何となくだが魔力の流れのようなものを感じた。そしてそこからどんどん拳の方までコントロールをすることに成功した。
翔太「…!!これだ!はぁっ!」
そして一気に右手に力を入れる。するとついに魔力変換に成功し、紫色のオーラを纏った。
雹美「そう!それよ!やれば出来るじゃない!そうね…じゃあ試しにこの地面を殴ってみなさい。」
翔太「ば、馬鹿かお前は!怪我するに決まってんだろ!」
雹美「大丈夫よ。今右手に魔力をまとってるから普段よりは硬くなってるわ。」
翔太「そうかよ…それじゃやってみるわ。」
そういい俺は思いっきり地面を殴った。
すると半径100メートル以上の地割れが起こった。
翔太「うわ…え、えぐ」
雹美「……え?お、おかしいわよ。普通こんな力出ないわよ。かけだし勇者でも」
翔太「まじかよ…」
そう思ったその瞬間2人は何者かがこちらに近づいてくることを。そして殺気があることも感じた。
そして…それは普通の敵ではないことも……
翔太「……おい、これは普通じゃねえよな」
雹美「えぇ。正解よ。なんせこいつは……魔王軍幹部よ。」
そう言われ俺は剣を握りしめた。
木火剣 ~勇者務めて散々です~ からマッチョ @asunotenki
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