第一幕 第七章「死の理」

死んだと思っていた。

 だが俺は目を覚ました。

 目を覚ますと周りが全て黒の空間にいた。

 しかし、目の前にだけひとつの画面が映っていた。そしてそこには2つの選択肢が表示されていた。

 

「CONTINUE」or「RETIREMENT」


 これはゲームなのだろうか。だが時すでに遅し。

 俺の手はいつの間にか「CONTINUE」の方に手を差し伸べていた。


 そしてここからまた俺の新たな世界線の物語が始まり、終焉への道へと進んでいくのであった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

翔太「……っぁぁ…はっ!」

 俺は目を覚ましガバッと起き上がった。

翔太「ここは?ここはどこだ!そして俺は…え…」

 自分の手があることを確かめ、動くことを確認した。

翔太「あれ…俺死んだんじゃ……」

  その時ガラガラガラと戸を引く音がした。

???「あ!お目覚めになられたのですね!良かったです!」

翔太「あの、ここは一体…」

???「ここはカーマッカ王国 王宮の医療室です。そして私は看護師です!」

翔太「な、なるほど。俺は何をしてここに来たんですか?」

看護師「覚えていらっしゃらなかったですか?ここの王宮を出た瞬間に倒れたじゃないですか!そしてそれに気づいた雹美様がこちらにいらしたんですよ。」

翔太「そ、そうなのか?!」

 

 どうなってるんだ……俺は確か入口のとこではありえないほどのジャンプをした……そうか…!これは死んだ何分か前に巻き戻るのか!それだったら辻褄が合う!そして倒れていたのは多分俺がジャンプする直前に倒れたんだ!そうか…そうゆうことだったのか!


翔太「今思い出したよ!ありがとうございます!俺はもう体調は良くなったし、もう出るよ。」

看護師「ほ、本当に大丈夫ですか?まだ色々と……」

翔太「心配してくれてありがとうございます。でも俺時間が無いんで。この世界の運命背負ってるんで。」

看護師「この世界の運命ですか?」

翔太「あぁ。これでようやく自覚することが出来た。元の世界に帰る方法。それはこの世界を救うこと。そしてそれが俺の使命でもある。そしてあいつとの約束を果たす為だ。その為にあの力があると俺は思ってる。ここで時間をかける訳にはいかないんだ。俺は強くならなきゃいけない。だから俺はもう行きます。ありがとうございました!」

 そう言い、俺は立ち去ろうとした。

看護師「あ、あのちょっと最後に待ってください!」

翔太「ん?どうしました?」

看護師「あの張り切ってるところ申し訳ないんですけど医療費の方を支払ってもらってないのですが……」

翔太「…………うぇ?い、医療費?あいつが払ってくれたんじゃないのか?!」

看護師「い、いえここに連れてきては貰ったのですが支払いはまだでして……」

 ここで二度目の大ピーーーンチ!!

 俺金持ってねえぞ?!硬紙だったか?そんなん俺もってねえええええ!!どどどどどどどうしよーーーー!!!


その時ガチャっと扉が開く音がした。

雹美「看護師さん。はいこれ。」

 と雹美は手に持っていた硬紙を看護師に渡した。

看護師「あ、はい!えーと20硬紙丁度お預かりします!ありがとうございました!」

雹美「ほら、行くわよ。」

 そう言うと俺の手を掴んで医務室から出た。

翔太「はぁ~助かったぜ。先に払っとけよなぁ!たくぅ」

雹美「何よその言い方!倒れたのはあんたでしょ!全く!」

 少しムキになっていた。

雹美「はぁ~まあでもあんたの言葉には感謝よ。」

翔太「え?なんで?」

雹美「今回はきちんと言ってくれたじゃない。「世界を救う」って」

翔太「あー…まあなていうか聞いてたのかよ。」

雹美「ふふ。あんたも意外にいい所はあるのね。」

翔太「なんだよ意外にって!いい所くらいもっとあるわ!」

雹美「あはは笑まあいいわ笑…だから翔太。」

翔太「?」

雹美「改めてよろしくね。」

翔太「…!ふっ…あぁ。よろしく頼む!」


 こうして互いをきちんと認め合った俺たちは新たな志を胸にかけて冒険していくのであった。

 そして、それと同時期にとあるところでも動きを見せていたのであった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 コンタワールド 北部 獄極地帯 魔王城 魔王特室


 二体の人間の形をしたようなモンスターが魔王に跪いた。


ブラックナイトA「魔王様 これより重大なご報告を致しますがお時間よろしいでしょうか?」

魔王「言ってみろ。」

ブラックナイトB「それでは私から説明をさせていただきます。ここより南部に位置する潤沢地帯カーマッカ王国近辺にて100年ぶりに勇者が降臨したとご報告をお見受け致しました。」

魔王「……!それは真か?」

ブラックナイトA「左様でございます。観測隊である私たちの目に狂いはありません。」

魔王「そうか……。よくやったお前たち。引続き勇者たちの観察をするがいい。」

ブラックナイトA「お褒めお預かりいただき光栄でございます。ですが魔王様もう1件ご報告があるのですがよろしいでしょうか?」

魔王「何だ?」

ブラックナイトB「勇者が降臨されたあとしばらく観察をしていたのですが、その時30年前に脱走した元最高魔王軍司令官が発見されました。」

魔王「あのゴミがまだ生きているだと?」

ブラックナイトB「はい!どうやらずっと巨岩に化けていたようです。それを勇者が壊し、姿を顕にしました。」

魔王「何?それを勇者が壊したと?それは真か?」

ブラックナイトA「はい!観察隊である私たちが見たのですから目に狂いはありません!」

魔王「そうか…。」

 魔王は目を瞑り考え事をした後目を開けた。

 そのあと魔王はテレパシーのようなもので全モンスターに言葉を放った。

魔王「よし。それでは今日より魔王軍は本格的に動くことを許可する。そして全ては俺様の命令に従え。」

全モンスター「ははっ!!」

魔王「そして魔王軍司令官は私の前に出向け。」

 その瞬間一瞬で魔王の前に魔王軍司令官は参上した。

魔王軍司令官「ご無沙汰しておりますぅ。魔王様♡ どのようなご要件で?」

魔王「幹部第10幹を出せ。」

魔王軍司令官「ワオ!!幹部をいきなり出すとは一体どのような風の吹き回しで?」

魔王「そいつらから勇者が元魔王軍最高司令官の化け技を壊したと聞いてな。現状の強さを知りたいのだ。」

魔王軍司令官「oh!!なるほど!重々承知いたしましたァ!それでは手配をいたしまぁす!」

 そう言い、一瞬で前から消え去った。

魔王「ブラックナイト共お前たちは仕事に戻れ。」

ブラックナイトA「かしこまりました魔王様。また何かあれば報告しに戻ってきてまいります。」

 そう言うと闇に消えていった。

魔王「勇者…か……。」

 そう言うと魔王は玉座で黙り込んだ。

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