ルサンチマン渦巻く、救いの無い悲劇

架空国家を作り上げ、所謂社会の負け組に現実では手に入らない地位や階級を与えている主人公グループだが、同時に彼らを騙し、搾取する者も描かれる。登場人物の大半は所謂「クズ」であるが、一方で彼らの行動理念や価値観等を仔細に描き出すことでステレオタイプ的な「クズ」として十把一絡げにレッテル張りすることを避け、タイトル通りにそれぞれの人間の価値といったものを問い掛ける内容になっていると感じた。地方都市、特に東北地方特有の関係性の狭さや独特の閉塞感も登場人物たちが抱く劣等感情や憎悪と上手く結びつき、救いの無い社会構造を際立たせている。良質な悲劇作品を求める人に対して自信を持ってオススメ出来る一作。

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クズどもの価値