現実と虚構が心地良く混ざり合う、ローファンタジースペクタクル
- ★★★ Excellent!!!
祖母の遺品である一冊の本を献本する為に仙台を訪れた少女、終野澄香は突如として魔術で渦巻く奇怪で悍ましい世界にその身を投じることとなる。
仙台の都心に本拠地を置く超現実的な機関、魔法管理機構『ウィッチシーカー』と、そこに攻勢を仕掛ける死んだ筈の祖母、終野黒枝。変わり果てた人生を最も謎に満ちた存在である澄香はどう歩んでいくのか。果たして最後に逢着するのは如何なる”終の住処”なのか──。
軽快でシニカルな筆致で描かれる、複雑で重厚な世界観。疾走感に溢れ、カタルシスを嫌と言うほど感じる戦闘描写。現実の仙台を知る人ほど、ある種この都市にアンマッチで、だからこそ奥深い世界に酔いしれることが出来るだろう。