エピローグ

  エピローグ




 長かった旅が、終わった。


 終わったけれど、ひと息つく間もなかったから、まだ眠れる気がしない。


 いつの間にか魔力が、戻っているからかもしれない。


 またゲンジが分けてくれたのか……魔王パパがそうしてくれたのか。


 夜中に目覚めたことと、呼ばれるようにバルコニーに向かったのを考えると、後者だろう。




 ……私が、ゲンジと結婚することになるなんて。


 そうだ。


 教皇様が魔族だったのも驚いたけど……考えてみれば、私も同じなのだと今、気が付いた。


 だけど王国の人々と、何ら変わらない。


 私も、魔王パパも、教皇様も。


 何も変わらない。


 ……港村の人達みたいに、仲良くできればいいのに。


 あの人達は、魔族とも普通に接しているみたいだった。


 あの村から……もっと、交流を広げられないだろうか。


 その前に、復興のお手伝いをしに行きたい。


 明日にでも行きたいと言ったら、魔王パパは悲しむだろうか。


 そういえば、結婚の宴を夜にすると言っていたのに……私が寝てしまったから、流れたのかもしれない。


 ……色々と、一気に考えることが増えた。


 大変な旅だったし、最初は不満しかなかったけど――。


 けれど、得たものはたくさん過ぎて――不満を言っていたのが嘘のよう。





 だから寝付けないのは、ゲンジが同じ部屋に居るからというわけではない。


 ……はず。


 明日からは、ちゃんとベッドで寝るように言おう。


 それから、魔王パパのことを呼び方で少しからかって。


 やつれた教皇様に、治癒を掛けてあげるのも忘れないように。


 ミアとも、一緒に遊んで…………。



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【完結】 聖女と勇者の二人旅 稲山 裕 @ka-88inaniwa-ku

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