あまり『魔法のiらんど』の文化や作法は存じ上げず恐縮なのですが、誰もが抱える痛みや傷、そしてそれでも抱く期待のようなものをシンプルに切り出す、噴き出るような鮮やかな物語です。そして何より、たくさんの登場人物(多すぎて書ききれないな……)の群像劇として最後まで読み切ることができるかと思います。ぜひ、眩いぐらいにすっきりした文体で描かれる真黒で、それでもついつい惹かれる物語に触れてみてはいかがでしょうか。
軽快でポップな構成が、独自の世界観を醸し出していますね。まるで少女漫画を読んでいるような、そんな画が浮かんでくるようです。出だしからアングラ感が側にあって、タイトルのやわらかな印象に反したキャッチコピーと共に、恋心もこれからの展開も、どうなってしまうのかとドキドキさせられるお話です。
個人的には恋愛描写がとても好みでした。キャラの心情がダイレクトにテンポよく書かれていて、登場人物たちが感じていたドキドキがこっちにも伝わってきます。恋愛あり、暴力あり(重要!)で面白かったです!ぜひ読んでみてください。