第10話 人生初の冒険者登録
翌朝、俺はまたゲルグさんの馬車に乗せてもらい街を目指す。
ガラガラガラガラ…
「ほれ、あそこに見えるのが目的地、ポードンじゃ。」
「おぉー!」
ゲルグさんがさす方向には遠めでもわかるぐらい大きな石垣に囲まれた街が見える。
「思ったよりも大きい街ですね!」
「そりゃあそうじゃろう。なんせポードンはこの国の首都の次に栄えてる都市じゃからな。」
「そんなすごい街なんですね……。」
コロネさんもこの街にいるのかな…?
砦に一つしかない宿のおかみさんに聞いても知らないようだったし。
***
一時間後、俺たちは無事に街に入れた。
「さてと、わしは寄るところがあるからお前さんとはここでお別れじゃな。」
「あ、はい!色々本当にお世話になりました!貸していただいたお金も必ずすぐ返しに行きます。」
「ガッハハ、ゆっくりでいいぞい。わしはこう見えて気が長いほうなんじゃ。お前さんの稼ぎが安定してからでも十分待てる。なんせ出世払いじゃからな。」
ゲルグさんの温かい言葉に胸がポカポカする。
こんな優しい人がこの世界で初めて会う人で俺は本当についてると思う。
「それじゃあ、達者でな!」
そう言ってゲルグさんは去っていった。
「…よし、それじゃあ俺たちも移動するか!」
「「ワン!」」
周りの建物を見回す。元居た世界とは違う街並みにワクワクする。
中世のような建物、まるでゲームの中に入り込んでしまったかのような錯覚を覚える。
錯覚…でもないか。実際異世界にいるわけだし。
ゲルグさんに教えてもらった通りに進むと、これまたかっこいい建物があった。
「ここかな?」
ドアを開けてみると思っていたよりもたくさん人がいた。
ドアの軋む音で一斉に注目をあびてしまう。武器を持ってる人が多く少し怖くなる。
大丈夫、俺には頼もしい見方が二匹もいる。
すぅー…よし!
深呼吸で心を落ち着かせ奥のカウンターに向かって歩く。
「こんにちは、本日はどのような御用ですかにゃ?」
「冒険者登録のお願いをしたいのですが、」
「それでしたらこちらに必要事項の記入をお願いしますにゃ。もし文字がない場合は代筆もしますにゃ。」
「多分大丈夫だと思います。」
受け付けの女性は猫獣人さんだった。おかげでコロネさんを思い出し、少し緊張が解けた。
渡された紙に必要事項を記入していく。
名前、年齢、職業…はテイマーでいいか。テイムしている魔物は狼っと。
「これで大丈夫ですか?」
「…はい、大丈夫ですにゃ!少々お待ちくださいにゃ。」
それにしてもあの受付さんすごい自然に語尾に「にゃ」がついてる。
もしかして猫獣人にとってあの語尾はついてて当たり前なんじゃないか?
だとしたら俺コロネさんに嘘教えちゃってるじゃん…
「おまたせしましたにゃ!こちらの冒険者カードに血を一滴たらしてくださいにゃ」
そう言って受付さんが小さい針を渡してくる。
「…いった、…これでいいですか?」
「はい!これで冒険者登録は完了ですにゃ。この冒険者カードは身分証にもなるのでなくさないようお願いしますにゃ。なくした場合、再発行で金貨3枚かかりますにゃ。それと、これはテイムした魔物につける首輪ですにゃ。テイマーの方には無料でお渡ししてるので街に入るときは必ずつけてほしいですにゃ。」
「ありがとうございます。」
もらった首輪を早速クロとシロにつけてみる。
うん、すごい似合ってる。
二匹ともそんなに嫌がらなくてよかった。
その後、受付さんに冒険者について詳しく教えてもらった。
まとめると、冒険者にはSからF全部で七つのランクがあり、強さ的には、
Sランク、世界で三人しかいない。英雄レベル
Aランク、超ベテラン
Bランク、ベテラン
Cランク、一人前
Dランク、一人前と見習いの間
Eランク、見習い
Fランク、14歳以下の登録者
という感じらしい。
依頼もSからFまであって基本的には自分のランクの一つ下から一つ上まで受けれて、内容は、町の清掃、薬草の採取などから魔物の討伐まで幅広くあった。
上のランクにいくにつれ報酬は高くなり、失敗した分の違約金は高くなるらしい。
倒した魔物はギルドで換金&解体してくれるらしい。
「とりあえず説明に関してはこれで全部ですにゃ。ほかに質問とかありますかにゃ?」
「ありがとうございます。質問はないで…一つだけ聞いてもいいですか?」
「なんでもどーぞにゃ」
「あの、失礼だったらすみません。その語尾につくにゃは猫獣人の方ならつけて当たり前なんですか?」
「あーこれですにゃ?ほとんどの猫獣人は多分つけないですにゃ。私のこれは、方言ですにゃ。」
「方言?」
「そうですにゃ。私の生まれ育った故郷ではみんなこのしゃべり方ですにゃ!」
「なるほど…」
そんな方言もあるのか。まあ、世界が違うわけだしあってもおかしくないか。
俺がコロネさんに言ったことがあっててよかった。
次からは人に教えるときは、憶測だけじゃなくてちゃんと調べてからにしよう…
目が覚めると森でした。 @Nekomanjuuu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。目が覚めると森でした。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます