第2話 時の流れは絶えず変化をする
「じゃあ、天都くんフリーなんだ」
その問いかけをしたときの彼女は、少しはにかみ顔が赤い。
「どうしたの?」
「その、ずっと興味があって」
多賀恵がいろいろと言いふらすので、運命は以外と興味の的だった。
突然のモテ期がやって来た。
「ズルい私も」
グループでのアピールは、お互いが牽制をするか、加速するかのどちらかである。
今回は、仲間内での抜け駆け合戦となった。
そう、ちょっとした隙間。
一方、多賀恵は隆史と順番に関係を進めていった、しかしだ、彼の考える節度あるお付き合いは節度がなかった。
だが……
「うんまあ、こんな物か。飽きた別れよ」
半年。
体の関係にもなった、順調だと思った。
なのに、突然の宣言。
「えっなんで?」
「君、結構我が儘だし、家は貧乏だし、まあ付き合っても利がないからね。付き合いを続けるには家同士の格というものが重要なんだ。何事にもバランスが大事だよね。まあ僕と半年も付き合ったんだ。良き思い出としてくれたまえ」
そう言って彼は、多賀恵の元から離れてしまった。
そう彼は、ママンに付き合いがバレて叱られた。
「あんな貧乏人の小娘、人生は時間が大事なの。無駄にしない」
「はーい、ママ」
そして、周囲にとって半年は長すぎた。
「ねえ、振られちゃったの」
「そう良かったわね」
仲の良かった友人も、まともに話しも聞いてもらえない。
友人達は、それどころではなく、未だに運命の争奪戦を行っていた。
仲が良くなればなるほど、彼を知れば知るほどいい人。
まるでスルメのような男。
ある日、彼女達が他校の連中に絡まれた。
あれは、春の新人戦か何かで、スタジアムに応援に行ったとき。
「離してください」
グループの一人が、ヤンキーのような奴に目を付けられた。
周りは意外と見て見ぬ振り。
相手は三人もいた。
「オラ嫌がっているだろ、手をはなせ」
普段と口調が違うが、運命だった。
「なんだてめえ、やんのかおらぁ」
そんな脅しも彼にはきかない。
「此処じゃなんだし、場所を変えよう」
そう言って、連中を引き連れ、彼は行ってしまった。
だけど、その三十分後、スタジアムに救急車がやって来た。
その時には、彼は私たちといて応援をしていた。
「彼ら? ああ悪いけど、君のことを彼女なんだと説明をして納得して貰ったんだ。ごめんね」
「彼女。やっとその気になってくれたの?」
「いや、彼らの説得のためだから」
そう言って笑っていた。
その時運ばれた彼らは、口を割ることはなかったが、ボコボコにやられて、肋骨とか顔とか骨が折れていたそうだ。
そして、うちの学校には鬼がいると噂が立った。
「奴は笑顔で、だけど容赦なく攻撃をしてくる。奴を絶対真顔にするな。殺されるぞ」
そう、あの後、お話し合いは平行線、だが彼らの一人が『もう攫ってやっちまうか』そんな事を口にした。
その瞬間、彼は変わった。
「冗談でも聞き捨てならんな、彼女達は友人なんだ。死ねや、おまえら」
それが最後通告。
その攻撃に躊躇はなかった。
急所などもガンガンに攻撃をしてくる。
武道でも、スポーツでもない、これは喧嘩なんだと理解したときには、ボコボコにやられていた。
「今回は殺さねえが、また手を出してみろ殺すぞ」
意識があった一人に、彼は警告をした。
どう聞いても、その言葉がホントだと聞こえた。
「あれの容赦のなさ、実家が本職とか?」
「判らんが奴はやべえ」
「何も言わんが、救急車。息ができねえ痛えよう」
「おう」
そんな状況となっていた。
目撃者のいない数分だった。
運命は空手とかをやっていたわけでは無い。
動画で暗殺拳とかを見て、中学校二年生頃から、巻き藁とかサンドバッグを殴っていた。
鋲ツキの指ぬきグローブをはめて、格好いいとか、メリケンサックを集めてみたり、ナイフに興味を持ったり……
そんな時期が男にはあるのだよ。
ただ、皆は一過性だが、彼はそれを続けていた。
強い素人。そんな本物が一人居た。
そして、彼の周りには女の子があふれ、一度家に行ったが仲の良かった子達に追い返された。
そして年末、例年のお勤めに行ったが、鳥居を越えた瞬間から、彼女は寒気を覚える。
そして、途中でリタイヤして、三が日を寝て過ごすことになった。
それは、大学入学共通テストでも発生。
彼女はそれから、大事なイベントごとに寝込むことになった。
逆に彼は、少しキツいかと思ったところにあっさりと合格。
まるで、神様から加護でも貰ったのではないかと思えるくらい、何事も順調に人生を歩み始める。
神の差し障りはあると、昔から年寄りが言っていたが、それは本当にあるをかもしれない。
駄目という事はやってはいけない。
信じるか信じないかはあなた次第。
気を付けて、良い年をお迎えください。
そして、来年は、幸ある年でありますように。
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お読みくださり、ありがとうございます。
みなさん、良い年をお迎えください。
幼馴染みが、知り合いになった夜 短編集 久遠 れんり @recmiya
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