第140話 帰るまでが遠足です‼️(最終話)

 「やっぱお前、性格悪いだろ⁉️」

 

 声が出た瞬間、溢れだした光は一瞬で収まり、漆黒の闇だった。


 「は?」


 目が慣れない。


 どんな場所にいるかもわからない。


 おそらくは日本のどこかだが……


 性格的に、闇雲に踏み出すところだった足を辛うじて止めることが出来たのは、強烈な潮の香りと波の音だ。


 海⁉️


 ヤバい。

 あの性格悪い神だから、

 『沖合いのブイの上に1人ぼっち』とか、マジあり得る。


 目が慣れるまで動かずにいて……


 わかってきた。


 1歩踏み出しただけで海に落ちただろう、小さな岩礁の上。

 背後は崖⁉️


 まさか⁉️


 思い出したのは、以前朔夜に聞いたことがある、召喚の状況。

 

 水産高校と言っていたから、海は近い、間違いない。


 苛められて暴力を受け、ガードレールを乗り越えて崖から落とされた。

 そして、召喚……


 「うわっ⁉️ランダムかよぉ⁉️」


 思わず声が出た。


 不等価交換。

 どこに落ちるかわからない。


 ただ、それぞれの召喚勇者が呼び出された、そこに帰る。


 私の場合なら大学の講堂だ。

 千夏のデータを使われれば、別大学の研究室。


 うわ、ヤバいヤツいたっけ、朔夜以外に⁉️


 あ、華子だ‼️

 あいつ、パーティー会場(多分ホテルだ)の屋上から飛んだって⁉️


 返還、即転落死は洒落にならん‼️


 ……

 ああ、でも……


 私も崖から転がり落とされなかったし、あのくそ意地悪神様が、それでも最低限『安全』には戻してくれるだろう、そんな気がした。


 ポケットからスマホを出した。

 無限スマホはマイナス効果で、どうやら元に戻ったらしい。

 充電が久し振りに減る。

 今78%。


 多分『覗き見君』でこの場を見ている、アルスハイドに向けて‼️


 音は拾えないはずだから、メモ機能に情報を叩き込む。


 フリック入力、久し振り。


 『79.7%、大正解‼️

 勇者の力は残るけど……

 弱体化は辛うじてしているし、神様気に入っているみたいだから、変えない方がいい。


 出現場所は、勇者が召喚された場所のランダム。

 私は多分朔夜の町。

 すぐにでもこちらで合流したい人がいるなら、要対策。


 1週間くらい時間を欲しい。

 ミス都市伝説が道を拓いておく。』


 空間にスマホをかざした。


 きっと見ている仲間達へ。


 ……


 しばらくそうしていたが、充電が73%を切ったので?動き出す。


 アルスハイドでしていたように、体に魔力を行き渡らせた。


 「身体強化。」


 問題なく出来た。


 垂直跳び50メートル。


 真夜中で良かった。

 再びの都市伝説案件だ。


 崖の上……

 当たり前の舗装した日本の道に跳び移る。


 あー、アスファルト、感慨深え。


 さあ、帰ろう。

 家に帰ろう。


 帰って、母さんに会って、その後は無駄に知られた顔を使って、軽く魔力なんかも使って、千夏や皆の帰りを待とう。


 ただ、ここがどこだかもわからないんだよなぁ。


 『朔夜に聞いておけば良かったな』と後悔しつつ、夜中だし、どうしたものかと考えつつ、空腹を覚えた。


 思い付く。


 「食料召喚‼️」


 と、目の前に数100キロの肉の塊が現れる。


 生体で出たらヤバいとは思っていたが……


 「あ、生じゃんか⤵️」


 ドラゴン肉、召喚出来た件‼️


                  (了)




 異世界ものの楽屋落ちみたいな話に、最後までお付き合い下さり、ありがとうございます。

 この先の、

 『いちごさんの大暴れ』とか、

 『力と子供達と、両親との感動の再会』とか、

 『構造把握を持ったまま、しかも家と縁を切りたい朔夜は……

 あ、多分華子(大企業のお嬢)が助けるわ』とか、頭の中にはいろいろありますが。

 何せ『帰るまで』のお話なので、後は皆様のご想像にお任せいたします。

 10月から始めて、5か月に少し届きませんでしたが……

 本当にありがとうございましたm(。_。)m


 午前中に更新している現代ファンタジーは、まだまだ続きます。

 宜しかったらこちらもどうぞ(^∇^)


 

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帰るまでが遠足ですか?……出だし土下座から始まる異世界迷走…… @ju-n-ko

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