第139話 おうちへ、日本へ

 「魔力充填、79.1%……79.2%。」

 「……どっかの宇宙戦艦みたいなカウントダウンするなし。」

 「……79.3%。」


 聞きゃしねぇ。


 まあ、雨月もかなりナーバスになっているんだろう。


 仕組みはわからないが、今まさに『勇者返還装置』が、日本側に霧散していたアルスハイドからの魔力をまとめている。


 79.7%になった時、私は元いた世界に帰る。


 「出るのは、日本のどこかなんだよね?」

 「うん。召喚が日本からしか行われていないし、そこにしかゲートが無いんだと思う。

 79.4%‼️」


 お別れは、昼間の内に済ませた。

 立派な立食パーティーを開いてくれた。


 「いちごさーん‼️」


 何故なつかれた?


 華子が大泣きし、おそらくは今生の別れだ、世奈とほむらは泣かないでいてくれた。


 「先に行ってて(ろ)。」

 と言ったのは、千夏と力。


 その言葉に頷いたのは朔夜達。

 そして、帰ってきた地図作り夫婦だ。


 ヤンキーどもは九八のみ、黙礼。

 勇作は目をそらしたが、まあ、来てくれただけスゴいや。


 勝手饅頭(王)の暴走から始まった異世界生活だけど、いろいろなヤツに会えた。


 そこだけは悪くなかった。


 恨まないでいてやるよ。


 日本に突然現れるわけで、騒ぎになるのが目的とは言え、山奥かも、渋谷のスクランブル交差点かもわからない以上、返還のタイミングは真夜中とした。


 「79.7%‼️ポチっとな。」


 「自爆させる気か、お前は⁉️」


 雨月に、突っ込んだところで視界が歪んだ。


 お別れなら、

 『ありがとう』と言いたかったが……


 らしくなく、真っ赤に震える耳が見えた。


 雨月も意地で我慢していたから、言わないでおいた。


     ☆     ☆     ☆

 

 召喚は、

 『気付いたら異世界‼️』だったが。


 帰り道は意識があった。


 冷たいのか、暖かいのかわからない、重力を感じない空間を、体が進んでいく感覚がある。


 強制的に呼ばれた訳でなく、自分達の力で帰るからなのか?


 『まあ、今回は特別だね。』


 頭の中で声が響いた。


 『世界の壁?神様ってヤツか?』

 『全く諦めないし、79.7とかよく考えたよ。』


 ……

 質問には答えないつもりらしい。


 『まあ、ボクの世界の連中が必死だったし、巻き込ませた詫びもあるし、な。』


 なんだろう?

 声が少し笑った気がする。


 『79.7は大正解だ。

 でも、君の魔力量は1京ある。』


 ……

 国家予算軽く越えてた。


 『そこを代償に減らしても、まあ、軽く100万は残るな。

 ちなみに、君らが千夏と呼ぶ、初代勇者の魔力量が10万だ。』


 軽く千夏も越えている💦


 つまり私は勇者マイナスのまま、余計な能力付きで日本に帰るのだ。


 『千夏は『死を覆す』なんてチートがあるし、これを代償に貰えばいいか。』


 ……


 『朔夜の『構造把握』は面白いから残したいし……

 こっちは魔法を半分くらい貰えば帰せるか?』


 クスクス、笑い声が聞こえてきそうで……


 「やっぱお前、性格悪いだろ⁉️」


 声を振り絞った瞬間‼️


 急に光が溢れだし……






 次ラストです。

 ありがとうございました。

 そして、あと1話、宜しくお願いします🙇


 


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