Déformation
もざどみれーる
1 ou 0
これは、
──※──※──※──※──※──※──※──※──※──
その日の午前二時辺り、
「やれやれ、コイツはあんまり旨くなかったなあ」
「ああ、まるで『創造性』とかいうやつを喰ったときみたいだったな」
殺人犯たちが話していると、空が着ている重苦しい灰色のシャツから、ポタリポタリと落ちるものがある。
「おや、また雨か?」
「めんどくせえ。急いで『道徳』の海に戻らねえと、また親方に
「『道徳』? 一体どこだそりゃ」
「俺たちの生活している海のことさ」
「……ああ、あの分厚いカーテンでいつも閉めきられていて、よくわかんねえけど何だかキナ臭いこと
……おお、哀れな
──※──※──※──※──※──※──※──※──※──
ちょうどその頃、白銀のスプーンの皿の上に座禅の仕草で慎ましく座りながら、自分で編み出した独特な瞑想に
月は枯れ
割れた風の
我は
夢の
堪えかねてと云い
少女の
「月は」
「月は、枯れてもなお、神の奏でる聖なるギターとなって、人間の生命の伴奏を担うのだ」
「神様は何故人間をお造りになったのでしょう?」
「それに答えを出してしまうほど、人間は愚かではない」
「いいえ、全てに答えを出そうとするくらいには充分に愚かですわ ───」
少女が最後まで言い終わらないうちに、白銀のスプーンはたちどころに鉛色に変わり果て、皿という
──※──※──※──※──※──※──※──※──※──
「やや、こいつぁ驚いた!……雨だけに
────
────
そんな会話を聞きつけたピラニアたちは、
「おい、そこのご両人、お前たちは一体何者だ?
「私たちは『地球』という
すると、何処からともなく悲劇的に
雨 止むことを知らず
穏やかならぬ川となりて
低きに流る 世界に変る
その紫煙は天の星屑を殺め
────
「ああ、また歌ってやがる!」と、二匹のピラニアは声を揃えて呆れる素振り。
「あれはいったい何ですの?」
「親方が云うには、この宇宙に潜む、太古の『魂』なんだとか」
「魂……!」
大きく声を上げたのは、白毛のすっかり泥に汚れた狼、「意識」。……すると、それはお前たちが思うような戯れ事ではない、とのみ言い残し、土砂降りの雨の中、
二匹のピラニアと少女の姿は、いつの間にやら雨にすっかり融けてしまって、
親方の行方は、もう誰にも分からない。
Déformation もざどみれーる @moz_admirer
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