エピローグ
あれから7日が経った。
魔王の計画は阻止され、今はいつも通りの毎日を送っている。
地元の街に戻ったコスモとユリは、自宅でティータイムを楽しんでいる所だ。
「ユリ……消えないよね?」
「だから、大丈夫ですって! ちゃんとここにいます!」
なぜコスモがユリが消えないかの心配をしているのか?
その答えは、ヨシムラの爆弾発言にあった。
魔王はあの後、魔剣の力で回復し、動けるようになった。
その後、ヨシムラと魔王は意気投合し、ヨシムラも魔族の元に行くこととなった。
ここまでは良い。
だが、去り際に言った言葉が問題だったのだ。
☆
『しばらく会えなくなるの寂しいよん♪
あっ、そうだ! 言い忘れていたことがあったよん♪』
なにやら照れているようだ。
頭をかいている。
『実はねん♪ あの事故……私がこの時代のこの惑星に来た事故のことねん♪
あれ実は来たの私だけじゃなかったんだよねん♪』
『え!?』
コスモは驚いた。
あの時は誤魔化されたが、やっぱりそうだったのか。
『そうだったんですか……』
『そうだよん♪ その人物とは……なんと、当時赤ちゃんだった、ユリちゃんでーす!』
『は?』
ユリが地球人だって……?
いや、別に人間じゃないのが問題ではない。
問題なのは、そんな大事なことをなぜ、今になって言ったのかだ。
『そんな顔しないでよん♪ だって先にこれ言ってたら、コスモちゃん絶対計画阻止するの迷っちゃうでしょん? 私どうしても実験がしたかったのん♪ 許してねん♪』
ということはだ。
ヨシムラの見解が外れていたら、ヨシムラだけでなく、ユリも消滅していたのだ。
『それだけじゃないよん♪
私の見解が間違っていたら、私が来た時代の地球人も全員消えていたってことになるからねん♪
いやー! 本当に良かったよん♪
終わり良ければ総て良し♪ いい言葉だねん♪ じゃあねん♪』
逃げるように、ヨシムラは魔王と共に異空間に飛び込んでいった。
ちなみに、この真実が話される前は、これからの技術の発展に胸を躍らせ、ニヤニヤしていた魔王だったがいつの間にか真顔になっていた。
おそらく、ドン引きしていたのだろう。
☆
「本当にびっくりですよ!
でも……私はその真実を知っていたとしても、計画を阻止するようにコスモさんに頼んでいたと思います。
私達にとっての未来は、まだ決まっていませんから!」
確かに、ユリならそう言いそうなのが、コスモは用意に想像できた。
「けど、ユリが地球人……つまり、魔族ってことはスキルは……」
そう、地球人はスキルも魔法も使えない。
ということは、ユリにはスキル自体が眠っていないのだろう。
「それはもう気にしないって言ったじゃないですか!」
「いやでも、期待させた私がなんか悪者みたいに……」
「気にしてませんって!」
そうは言っても、可能性がほぼ0になったのだ。
最初は大器晩成で、今は解放できないスキルだとか言っていたのだが、コスモの予想は完全にハズれたことになる。
「もうっ!」
そう言うと、ユリがコスモの口を、自身の口を使って閉じさせる。
要するにキスだ。
「あんまり暗い顔してると、駄目ですよ!」
「あ、うん、分かった」
突然のことで驚いてしまった。
未だに恋愛のことは分からないコスモだが、ほんの少しだけ、分かって来たかもしれない。
「あれ?」
「どうしたんですか?」
ユリは地球人だ。
では、なぜコスモを好きになったのだろうか?
「地球人って男性と女性に分かれてるって言ってたでしょ?
それで、男性と女性で生殖を行うって、ヨシムラさんは言ってた。
なのに……ユリはどうして女の子の私を好きになったのかなって」
ユリは顔を赤らめる。
「確かに……どうしてでしょう?
おまけに、外見は似ていても内部構造は違う訳で、結局は違う生物でもあるんですよね!?
私って変態なんですか!?」
ユリがあたふたし始めた。
コスモはそんなユリの頭を撫でる。
「まぁ、理由なんて、どうでもいいと思う」
そう、理由なんてどうでもいいのだ。
大事なのは自分がなにをしたいと思うかだ。
コスモはそう思った。
超レア&強力スキル【剣聖】を手に入れた少女、実家から追放された少女を誘い、勇者を目指します!~剣聖スキルが強すぎちゃって無双!? 仮に追放少女の才能が開花されても、他のパーティには渡さない!~ 琴珠 @kotodama22
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