異世界生活?なんやそれ。〜慈虐〜

優輝

第1話 少女との出会い

ある桜が咲いている日のことだ。


ピッピッ…


点滴の音だけが聞こえている。


(はあ、僕はここでダメなのかな。余命宣告もされて、もう生きる気が無くなってきたよう。あーあ、いっそのこと、代わってくれる人が現れたら良いのにあ…)





その夜


ゴソゴソ…


「…何やら物音が外から」


カーテンと窓を開けて下の方を見てみた。


「ま、魔法陣!?」


(あれは…人間!?)


魔法陣から現れたのは黒服に朱色の髪色の少女だった。


(あれはなんだ、人間か?モンスターなのか?)


病棟二階から少女を見ていると、少女は目を開け目が合った。


(やばい、気づかれた!?寝たフリしよ)


ベッドにすぐに横になり寝たフリをした。


「おい」


「ヒッ!」


「お前、起きてるだろ」


(なんで、二階まで来れる!?)


どうやら宙に浮くことが可能らしい。勇気を出して正直に起きてみた。


「ど、どうも」


少女の顔を見たが、目つきが鋭いため怯んでしまった。


「お前、名前は?」


「リ、リョウ」


「そうか。なら、リョウ。お前にお願いがある」


(僕にお願い事?今の僕にできることなんてほとんどないと思うんだけどな…)


「私と友達になってくれ」


「え?」


自分ではそう聞こえたが、確認のためもう一度聞いた。


「はあ。だから、私と友達になってくれって言ってんだよ」


「そ、そんなこと急に言われてもな…」


「タダでとは言わない。何か一つ、願いはないのか?なんでもいいから言ってごらん」


と、手を両手で握って言ってきた。


「うーん、強いて言うなら…これ捨ててきて」


そう言って発明した不良品を渡した。


「なんだーこれー?」


不良品をいじりながら聞いてきた。


「これは僕の発明品だよ。あまりよくない装備品でさ、身体能力は爆上がりするんだけど、つけるだけで暴走しちゃうんだ」


「そ、そんな危険なものを私に捨ててこいと!?」


「そうだよ。危険すぎて誰も処理してくれないからね」


「あの、知ってると思うけど、私さっきこの世界に召喚されたばかりなんだよ。せ、せめて、全世界共通のものにしてくれないかな?」


さっきまで男っ気があったのに、少し少女らしい口調になった。


「なんでもって言ったじゃないか」


「なんでもって言われてもできないものはあるからさ…」


「はあ、じゃあ僕の病気を治して。どうせできないと思うけど」


呆れた感じで言った。


「病気?ああ、お前のか。そんなのお安い御用さ」


そう言うと、手を僕の胸に当てた。すると…


「うわっ!」


胸部が一瞬光り、力が湧いてくるのを感じた。


「い、一体何を?」


「何って、言われた通り病気を治しただけだよ」


「ほ、本当だ。体が軽い…でも、この世界にはこの病気を治せる医師なんていないのにどんな薬を…」


「薬じゃない、魔法だよ」


「でも、治癒魔法だったとしてもこの世界にはこの病気を治す魔法なんて存在しないよ」


「そうなのか?よく分からないが、治ってよかったじゃん」



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