心支える熱い想いだけ変わらずに伝えるから、岡崎さんの素顔に

読者も、『有隣堂しか知らない世界』ユーチューブチャンネルを視聴する視聴者の一人のような目線で、誘拐された岡崎さんが無事保護される場面に立ち会える、擬似体験できる作品。
画面の向こうで起きていることも書かれているので、臨場感や緊迫感も伝わってくる。

三幕八場の構成で書かれている。
人物描写が少ないので、一般読者にはハードルがやや高い面もある。
誘拐という大きくて強い引きが起きるので、興味を持って読み進めていける。

本作内で誘拐されたことになっている、有隣堂ユーチューブチャンネルに出演されている岡崎さんが『文房具王になり損ねた女賞』に選んでいる点を考えると、読み手を楽しませることを意識して書かれた作品だといえるだろう。

二〇二二年、有隣堂の売上高は五百二十二億千六百四十万円。
身代金の五億円は、用意できなくもないだろう。