雨の魔女の水鏡

さけ

0話 闇より逃げるは暗き魔女

数値と科学で育った今の世界、

そこにある日、魔法使いが現れた

予兆はなく影に潜んでこの世界を見ていた

その魔法使いは悪ではなく善でも無かった

一人の女性に匿われ、その女性を守るために

 魔法を使った。

揺れる地は鎮まり、倒れ行く建造物を留め

迫り来る大波は阻まれた。

この星はたった一人の力で止められたのだ

魔法使いが去ってから半年が過ぎた頃、

ある話題が世界に広まった

異能、

ある人は光を自在に操った

ある人は物語の存在を現実にした

ある人は常に雨に包まれた


その話題はいつしかパタリと止んだ

闇がソレに目を付けたから

巨大権力が価値を見出したから








彼女の周りに雨が降る

止まず、

晴れず、

呪いの様な暗雲は彼女の上にあり続ける

明るい通りの路地裏、暗く清潔とは言え無い

あの施設から逃げ出してから、

常にここにいた

追手は居る、それでも雨が降る限り

見つける事は出来ないだろう

そうした、そう育てたのは彼らなのだから


「埒が明かない、斬雨と..."アイツ"も連れて行くか」

そう言って彼女は長くは無い黒髪を揺らし

逃げたはずの場所に向かう、暗雲と共に





これは彼女が晴れを望むまでの物語



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