2話 雨は止んで闇は墨へと

警報がうるさい程に響いている

雨が降り続けている、


この地下で尚


私が侵入して暫くした後、雨によって

電気配線はイカれ、監視カメラは曇り、マイクはショートして組織側に情報など無いに等しい


正直ここまで水責めに弱いと思っていなかったがこんな状態では、

訓練された人間を見つける事など素人に出来るはずがない

幼い頃から居るこの場所に知らない場所など無かった、暗殺など教えられては当然の結果であり、自業自得と言えるだろう


しばらく歩き有一、

完全に別系統のシステムで成り立つ、

特異扱器(とくいきゅうき)を保管する場に辿りついた。


特異扱器とは名の通り自らの異能を扱う為の装備で全てで72種存在する、その1番、私が行方を隠す為に必須となる物、相棒である


私は認証システムが映る液晶に手を当てて承認を進める、次に要求されるのは管理者の

IDと生体認証

あらかじめ用意しておいたカードから数値を

入力していく、次に担当者の手をしっかりと開かせて液晶に押し当てる

扉は開き扱器が運ばれて来る

彼女は刀に近い形をした扱器を手に取り、

呟く

「ザルだな次は"アイツ"を連れてずらかるだけだ」

彼女の手に扱器が収まった時、振り続けていた雨は止み雲は何処かへと消えていった



彼女の去った後の液晶は赤黒く濡れていた、雨によって洗い流されることももう無いだろう




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