魂食い

@blakponpon

第1話

「お前、星占いって知ってるか?」


唐突にその男は言って来た。

小さな設計事務所の先輩であり、上司であり、師匠でもある男、名前は松村匡という。


「はい?知ってますよ、私は7月23日、だから獅子座です」

素直に答えた。


「そうか、じゃあ、占星術って、知ってるか?」


(それは聞いた事あるぞ…でも、なんでいきなりお客さんの家に向かう途中で話すかな?)


「知ってますよ、聞いた事あります、占いってやつですよね?」


一応言ってみた


松村は答えた

「ああ、そうなんだけどな。今から行くお客さんの家な、普通のとこじゃない。あらかじめ予備知識が無いとな」


「???」


いつも唐突な話を振り出す事でその場を笑いに変える松村が、いやに神妙な感じで喋っている。しかも、いきなり訳の分からない話だ、


松村は続けた

「犯罪者っているだろう、あれな、生まれつきなんだわ。」


「どういう事ですか?」


「つまり、そういう星の下に生まれ、そういう犯罪を犯し、更生はしない。何故なら」


「えっ、ちょっと待ってくださいよ、よく映画とかドラマなんかではありますよね?本当はやりたく無いのに犯罪に手を染めたとか、で、判決を受けて、更正の道を歩む、みたいな」


ふっ、と松村は笑いながら言った。

「お前、そんな作り話を信じているのか?」

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