サイバーパンク・アリとキリギリス
瘴気領域@漫画化してます
甲殻都市には今日も人造血液の雨が降る。
犯人は、言うまでもなく
背中に仕込んだ四枚の高周波ブレードを高らかに奏でながら、廃ビルの谷間を縦横無尽に飛び回り、量産型の
それはさながら、
「いやあ、今日もせいが出ますねえ。
「まだ残党がいる。がっつかねえで引っ込んでな、蟻んこ野郎」
「ひええ、それじゃ大人しく見物に集中させてもらいまさあ」
「そうしておけ」
廃ビルの外壁に取り付いた
黒蟻が瓦礫の影に身を潜めたのを確認すると、
目標は
解体用の重機の如き、巨大な顎をしきりに開閉させている。
これに囚われれば、
軌道エレベーター用のカーボンナノファイバー製ワイヤーさえ軽々と断ち切るそれは、
それこそが
あくまでも
当然、
だが、あえて真っ正面に飛び込んでいく。
――
それが
キ カ
リ ミ
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ム ス
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顎 根
と と
が交錯し、.* ゛
, ;.*火花を散らす。
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髪切虫の大│の│
│羽│顎を両断する。
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カ
ミ 巨
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リ が
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シ つ
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切
り
裂
か
れ
る
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そう、
全資源を惜しみなくつぎ込んだそれこそが、
空気を鳴らす高周波振動、装甲を切り裂く金属音、
これこそが、彼の
「へへへ、これで今年の冬も無事に越せそうですぜ」
戦いの終わりを察知した黒蟻たちが、廃墟のあちこちから沸いてくる。
この時代、すべての軌道エレベーターが倒壊し、月や火星のマスドライバーも機能を止めた。地球は深刻な資源不足にある。天然資源も枯渇しており、採掘も不可能。
すなわち、
黒蟻のような弱い
彼がどこまで生き抜けるのか、どんな生き様を残すのか。
それを知るものは誰ひとりいない。
(了)
サイバーパンク・アリとキリギリス 瘴気領域@漫画化してます @wantan_tabetai
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