第二刃その呪いの名前は已己巳己①


家族旅行を終えて帰路につく、しかし品川駅の新幹線で家族四人と別れた。


その後、品川駅から池袋ではなく恵比寿駅で降りた。


その道中、待ち合わせ場所した一人の男から声をかけられる。


駒星多好こまほしたすくと呼ばれる人物である。


異端ヤバイハッカーであり、その名前を轟かせる事はあまりない。


駒星多好と緋走は旧世界ざんがいと呼ばれる俗に言うループものでの一周前から縁があった。そのループで起きた話は


旧世界ざんがいを取り戻せない。どんな偉業グレイト英雄伝説グレイテストも無かった事になっている。もうそれは復元しないのである。人間は今を生きている。今の前の今など考える人は少ない。


そもそも量子力学や量子コンピューターについてよく分からない者も多い。平行世界という言葉を耳にするのさえ、無縁という人間だっているだろう。


それでも、というのがある。


じぶん他者あかのたにんとは全く違う。創作だろうと二次元だろうと三次元だろうと、暗黒次元だろうと高次元だろうと低次元だろうと違う。


おのれ真名オリジンは秘匿するものだ。呪術、魔術、そういうのに知識があるのならば、そういう愚策を即座に決行するのは少ないだろう。それをするならば空城の計となるだろう。偽の本丸ダミーコードにあるのは蝋人形フェイクかもしれない。陰謀よりその言葉を使う前に計略、策略という言葉を使うべきだ。戦術と戦略を知らないで陰謀論の魔王のような敵サタニックエネミーと戦うのも愚策だ。そして魔王の蛇サタンは巳と転換されるだろう。


魔が差すという言葉があるが、それは悪魔憑きとされる。


已己巳己、それが術式として体系化されているならば、暗号学の世界の新しい権威にさえなれるだろう。文字が違えば存在が違う。概念ミームが違うのだ。


奇しくも、を持つ。


降魔こうま、退魔、その言葉を一度でも耳にして、自分なりに解釈してもなお、そのおぞましさと恐ろしさで脳内で矛盾パラドックスな答えを生むかもしれない。


しかし、インターネットではそもそも本名で登録してもSNSでは違ったりする。


よっぽどの有名人でない限り本名でSNSはしないだろう。


そして、文脈は同じな場合がある、それでいて雰囲気、そして


駒星多好は緋走を次の世界ネクストプラスで最初から発見した超越な探知能力を持っていたのだ。それを定義付けする白亜巫女はくあみこならぬ漆黒電脳世界の放浪者ダークウェブストレイヤーとしか言いようがないだろう。そんな彼が、緋走に対して、告げる言葉はまずは一つだった。


「久しぶりだね、お前のネットでの過激な言葉は若鶴美羽わかづるみはねを目覚めさせるぜ?」


若鶴美羽、警視庁秘蔵の白色の隠者ホワイトハーミット、四十七都道府県のあらゆる事件の情報を掌握する白色の電脳探偵ホワイトハッカー、緋走は嫌な顔を少し顔に滲ませた。


「………野鳥観察バードウォッチングとは趣味がいいな」

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流血刀・乙 飛瀬川吉三郎 @hisekawa

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