第3話 部活勧誘


俺の高校生活が始まってから一日、学校へ行く支度を済ませ、家を出ようとドアノブに手を掛けると同時にお袋が声を掛けてき何かと振り返れば弁当を持ったお袋が弁当忘れてるぞと俺の腕を掴み強引に持たせる。

それに少々イラつくが忘れた自分が悪いなと我に返り感謝を述べ家を出る。


すると誰も居なくなった筈のすぐ隣の家からドアが開く音が聞こえ誰か引っ越したのかと気になり見に行くとそこには銀髪のポニーテールのクラスメイトの麻美舞らしき後ろ姿が見え俺はその後ろ姿を凝視する。

すると視線に気付いたのか此方を振り向き少し驚くが直ぐに何時もの顰めっ面に戻り此方に歩を進め口を開く。


「何人の後ろ姿をじっと眺めてるのよ?もしかして貴方変態?」


「そりゃ隣の家にクラスメイトらしき後ろ姿があったら気になって見ちまうだろうが、つか何でお前がここに?」


「家が遠いから引っ越したのよ、悪い?」


「別に悪かねぇよ気になっただけだ」


「そう」


「じゃあな」


「は?道程が一緒なのにじゃあなって何?」


「一緒に行くとでも思ってんのか?」


俺がそんな事を言うと数秒の間麻美舞は呆け、そして急に此方の目を顰めっ面で見てきて失礼な奴ねと不貞腐れたように踵を返す。

そして俺も学校へと歩を進める。


そして学校へ着き、教室へ入る。

すると麻美舞が此方を睨んできていたので俺は麻美舞の近くへ行き煽るかのようにこう囁く。


「俺と行けなくて不貞腐れてるのかぁ?うんん?」


そしてそれを聞いた麻美舞は顔を真っ赤にし怒りを抑えていた。

俺はそれを意に介さないように煽り続けるそれに見兼ねたのか亮介が止め、俺は踵を返す。麻美舞は俺の後ろ姿にあっかんべーとガキのように煽っていた。






そして一、二、三、四、五時限が終わり六時限は部活動紹介があり、あまり興味深い部活は無かった為、部活には入らない事にした。


そして六時限目は終わり帰りのSHRも終わり、皆が帰ろうと廊下へ出る。

俺は亮介を探すが見つからず先に出たのかと思い廊下から出ようとした刹那に後ろから不意に肩をトントンとされ一瞬ビクッとするがその肩を叩いた人物が麻美舞であった為少し睨むと麻美舞は眉間に皺を寄せこう囁く。


「なに睨んでるのよ、これ落としたから拾ったげたのに」


「あ?ああ、センキュー」


「ありがとうでしょ」


「別に意味は一緒だから良いだろうが」


そんな事を俺が言うと呆れた様にこう言った。


「日本人なら日本人らしくありがとうって言えばいいじゃないの、そっちの方が相手も気持ちが良いと思うわよ」


「ああもう、一々めんどくせぇ奴だなぁ、そんな事誰も気にしやしねぇよ、お前ぐらいだ」


「はいはい、そうかもね」


「て、やべ亮介探さなきゃ」


「山田くんなら早退したわよ」


「あ、そうか」


麻美舞は呆れの溜息を吐き、じゃあねと踵を返す。

俺は一緒に帰る相手が居ない為仕方なく麻美舞と帰ろうと麻美舞を呼び止める。


「なに?」


「一緒に帰る相手が居ねぇから一緒に帰るぞ、どうせ道も同じなんだしな」


そう言うと麻美舞ははあ?と言う様な顔でこう言う。


「行く時は一人じゃなかったの?」


「一人だが何だ?」


「何で帰る時は一人が嫌なのよ?」


「そりゃあ決まってんだろ、帰りに一人で帰ってたら陰キャっぽいじゃねぇかよ」


そう言うと麻美舞は再度呆れの溜息を吐く。


「別に一人で行くも帰るも一緒でしょ」


「行く時は一人の方がカッコイイが帰る時は二人の方がカッコイイだろ?」


「何よその変な理屈は…」


「変じゃねぇよ、アホ女」


「そんな事言うなら一緒に帰らないけど」


と此方を睨み腕を組んで麻美舞はそう言う。


「あ、ぐ、はあ、帰るぞ」


「何勝手に流そうとしてるのよ!?」


「別に、良いから帰るぞ」


「はあもう分かったわよ」


と諦めがついたのか溜息を吐き歩き始める。そして下駄箱へ着き下駄箱から出ると部活勧誘をしている先輩方が多数居り、中には昼寝部とか言う聞いた事の無い部までもがあった。

そして校門を出ようと歩を進める

するとかなり巨躯な男が俺の肩に腕を組みこう言った。


「兄ちゃん、うちの部入ってくれよ、人数足りなくてよう、兄ちゃんかなりいい身体してっからよぅ、なあ入ってくれよ」


その男の外見は金髪リーゼントのヤンキーであり制服を着ていながら筋肉もかなり目立っている程のマッチョぶり。俺がここでそれを拒むと危ういと思ったので質問をしてみる事にした。


「あ、あの何て言う部活なんでしょうか、はい」


「ああ?見て分かんねぇか?空手部だよ、空手部」


空手部だと?金髪リーゼントでか?礼儀もクソもあったもんじゃねぇと内心呟くも装いは良い子にとこう拒否した。


「あ、ああ僕はその暴力はダメだぞー!とママに言い付けられてましてー、えーはい要はそのママが心配しちゃうからー、なんて、ははは…」


「おんどりゃ、俺様を騙そうってか、ああん?なあ兄ちゃん、おりゃあ折角お前を見込んで誘ってやっちゃたのによぉ、お前はその親切を無駄にするのか?ああん?」


と金髪リーゼントのヤンキーがそう言うと麻美舞が溜息を吐きこう言った。


「そうやって押し付けがましく勧誘する事が親切だと言いたいんですか?それならゼロから親切と言う言葉を復習した方が良いと私は思いますが。」


「な、おい、やめとけ、ああ言う奴は大抵女でも容赦しないぞ…」


俺がそう言うと麻美舞は鼻で笑い俺にこう囁く。


「もしかして私の心配でもしてるつもり?それならその心配ご無用。私だって元は空手してたんだよ」


「おい女、今俺とこの兄ちゃんが話してるんだよ、横槍を入れるのはやめてくれねぇかなぁ?」


「そうやって強引に勧誘する事を私は良くないと思ったので注意したまでです。別に横槍を入れたつもりは有りませんが、貴方がそう思い不快にさせてしまったのなら申し訳御座いません。ですが貴方も私や彼を不快にさせていると言う事を御理解下さい。私も謝りました。貴方も私達を不快にさせたのですから謝罪ぐらいはして下さい。」


「ああ?一々長々話すんじゃねぇよ、たいぎいなぁおい」


「要はお互いが不快な思いをしたので双方謝れば良いと言いました。だから私も謝りました。次は貴方が謝って下さい。」


麻美舞がそう言うと金髪リーゼントのヤンキーは腰を前に曲げ顔を麻美舞の目線と同じ位置に向け麻美舞にこう囁く。


「おい姉ちゃん、あんま舐めた口聞くんじゃねぇぞ、おりゃあ女でも容赦はしねぇからなぁ」


「それで脅してるつもりですか?でしたら自分が今どれ程恥ずかしい事をしてるか理解した方が良いように思えます。」


「おりゃあ、わかんねぇな教えてくれよ俺がどんな恥ずかしい事をしてるかよう」


金髪リーゼントのヤンキーが更に鬼の形相でそう言うが麻美舞は全く怯む様子がなく寧ろ呆れの溜息すら吐いて金髪リーゼントのヤンキーにこう言った。


「それが恥ずかしい行為だと私が言ったのですが本当に気付いていないご様子ですね。分かりましたでは貴方に分かるよう短く教えましょう。そうやって後輩を脅している事が恥ずかしい事なんですよ。貴方は先刻空手部と仰いましたが空手で礼儀は学びませんでしたか?貴方はただ武道を学んでいるのではなくただの人を傷付ける行いを学んでいるのですか?それなら空手を習う意味がありません。私は貴方が空手を勧める様に私は貴方に空手を辞めるよう勧めます。」


「一々長々話すなぁ姉ちゃん、まあ良いもう面倒くさくなった、もう勧めやしねぇよ。」


そう言うと金髪リーゼントのヤンキーは踵を返し帰って行く。


「じゃ帰りましょ、結局謝せられせなくてごめんなさい。不快だったわよね。だから私が彼の代わりになるかは分からないけれど一応謝っておくわ。」


その時俺はこの女をカッコイイと思った。俺はこの女みたくなりてぇと初めてそう言う感情を抱いた。






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まじめな学級委員長と不真面目な俺の恋愛物語 @another1221

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