文房具王に!!! おれはなるっ!!!!
「うぉおおおおおお!! くらえ!!
そう叫びながら私は魔王の岡﨑さんに7260円のガラスペンのペン先を向けます。
「わあああああ。やられたぁああああ」
魔王の岡﨑さんは棒読みで悲鳴のセリフを読みあげました。
ポチっと画面をタップするとRECマークが消え、二人で今撮った動画をチェックします。ちなみに魔王にたどり着くまでに、ダンジョンの宝箱から林檎マークのスマートフォンを手に入れてました。
「お、いいんじゃないっすか」
次に、適当に動画編集アプリでVFX効果を入れていきます。まず、ガラスペンの先から光のビーム出ているようにして、魔王の岡﨑さんに当たった瞬間に爆発する演出を入れてみました。
「よし、この捏造証拠動画をギルドに送ってと」
動画をMメールに添付して、『魔王、倒しました』とフリック入力して送信。Mメールが魔法の力でフワフワっと、ギルドのある方角に飛んでいきました。
「さて、じゃあ、これでお互い自由の身ということで」
「お世話になりました」
特に再会の約束はせずに、私たちは別れそれぞれの道を進むことにしました。
◇◇◇
数年後。
「いやいやいや。死亡保険入りすぎだから。独り身でしょ? だれに残すのよ、こんなに」
私は魔王討伐で得た賞金で山を買うと、山の中で暮らし始めました。そして、時折、保険の見直し相談をして生活しています。FPだけに。
「エルフスナックのミミちゃんに? エルフは人間より長寿だから、自分が死んだ後が心配で? もうそれ絶対にミミちゃん他のお客さんにも同じことしてるよ。解約しなさいよ、これ」
魔王討伐の帰り道で買った鳥の雛も立派に育っています。
「いや、トリ、デカくなりすぎ。育ちすぎ」
私の10倍くらいありそうなカクヨム・トリを見ながら、餌代の高騰に嘆きます。
そんな時、とある新聞の広告が目に留まりました。
『文房具王選手権! 賞金100万リワード!』
こ……これはぁあああ!!!
私は参加を決意し、カクヨム・トリにまたがると(鳥on鳥)選手権会場に向かいます。そして、選手権にエントリーし前世の記憶を駆使して、どんどん勝ち上がって行きました。
(『有隣堂しか知らない世界』こき使われて、ブラックとか思ってたけど、やってて良かった)
――――――ついに迎えた決勝戦
「赤コーナァー! 文房具王になり損ねた女・岡﨑ぃぃぃいいい弘子ぉぉおおおお!!」
かつて一緒に仕事をした仲間が最大の敵として、私の前に立ちはだかります。
でも、これは負けられない戦いッ! そう、もう私一人の身ではない。ペットのカクヨム・トリのご飯のために戦わなければッ!!
私は翼を空高く掲げます。
「文房具王に!!! おれはなるっ!!!!」
――――――俺たちの戦いはこれからだ!!
*ご愛読ありがとうございましたR.B.ブッコロー先生の次回作にご期待ください!!
せっかく異世界に転生したのに女神も幼馴染も聖女も悪徳令嬢も魔王も全員・岡﨑さんでテンション下がったので、山でスローライフを楽しもうと思う 笹 慎 @sasa_makoto_2022
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます