閑話 アーセイム城を守るために奮闘して嫁を見つける(下)
シルフィン様が私を領都屋敷の執務室に呼び出した。そしていきなり、北の遊牧民による侵攻の可能性について聞かされたのだった。
私は驚いた。正直考えすぎだと思った。北の国境はもう百年も安定しているのだ。しかしシルフィン様曰く、市場にいた遊牧民があまりにも困窮している風だったのがどうしても気になるとのこと。確かに、遊牧民が食い詰めて公爵領に乱入してくるような事があれば一大事ではある。私は一応は偵察隊の派遣に同意し、騎兵を十名ほど偵察部隊に編成して、遊牧民の地域の偵察を命じた。
ただ、私はまだこの時は事態を甘く見ていた。なので翌日早朝、また偵察隊も戻らぬ内からシルフィン様が大騒ぎをし出し、領都から住民を避難させるとか、領地内の各地に使いを送って南の領地境を越えて避難するようにとか叫びだした時には驚くと共に呆れた。高位貴族婦人特有のヒステリーか我が儘が炸裂したと思ったのだ。
しかしレイメヤーとミレニーは迅速にシルフィン様の言葉に応えて動き出し、侍従や領地内の役人を動かして領都に避難を呼びかけるお触れを出した。そうなれば私も動かざるを得ず、帝都に救援を求める書簡や、北と東にある帝国軍の砦に、避難民を収容するよう依頼する手紙を出した。しかしそれでも私は半信半疑だった。
しかし、偵察隊の者が戻り、遊牧民に明らかな侵攻の兆しがあるとの報告があり、私は驚愕した。驚愕すると共に私はシルフィン様の先見の明に震撼したものである。
遊牧民の数は分からない。しかし最小でも千を超えることは明らかである。領都を護る兵は私の護衛部隊と、元々領地防衛のために配されてる兵を合わせてもせいぜい五百。しかもシルフィン様は領民の避難のために兵を使ってしまっている。これではとてもではないが領都は防衛出来まい。私とレイメヤーはシルフィン様に避難を勧めた。
ところがシルフィン様は柳眉を吊り上げてこう言い放った。
「領民を見捨て我が身だけを助けて、何が公妃ですか。領主代理ですか! まず、領民の安全の確保が先です!」
そして何度言っても絶対に避難しようとはしなかった。シルフィン様の意志の強さ、言い換えれば頑固さは折り紙付きで、レイメヤーは早々にシルフィン様を避難させることを諦めていた。
仕方なく私は、シルフィン様が主張する領都の岩山にそびえる城砦への籠城に同意した。
確かに、城砦は堅固であり、高い岩山に更に垂直な城壁を巡らせてあるため、騎馬での襲撃を得意とする遊牧民には相性の悪い攻城戦を強いることが出来る。規模も大きくは無いので、数百人で十分に籠城戦を戦えるだろう。食料の備蓄は十分あり、井戸もあって水の心配も無い。
惜しむらくは魔力兵器に魔力の充填が行われていなかった事で、これがあればかなり有利に戦いを進められたのだが。しかし、今から私とレイメヤーで(他に大魔力を持つ者がいなかった)魔力を込めていっても使えるようになるまでにはかなりの時間が掛かりそうだ。
籠城用の物資及び、公爵邸の貴重品や書類を城砦に運び入れさせ、領都の避難を完了させてから、私はシルフィン様と共に城砦に入り、立て籠もったのだった。
◇◇◇
遊牧民どもは数日後にやってきた。見たところ数は五千を超えており、遠目には地面を埋め尽くすような大軍に見えた。ただ、これは全員が戦闘員なわけでは無く、女子供までを含んでいたとは後で判明したが。遊牧民は女子供も馬に乗るのである。
そして連中は領都を略奪したあと、私達の立て籠もる城砦に攻め寄せた。最初は城門に続く険しい坂道を馬で登ってきた。流石の乗馬技術だが、浅はかでもある。戦慣れしていないことは明らかだった。細い坂道であるから、せいぜい三頭列でしか上って来られない。しかも騎兵の優位である機動力はこんな場面では意味が無い。
私は敵を十分に引きつけた上で命じた。
「撃て!」
途端に城の矢狭間から矢が一斉に放たれ、密集する遊牧民に突き立つ。こちらの兵は訓練されている精鋭なので、狙いも正確だ。遊牧民どもは数名の動かなくなった者を捨てて後退していった。しかし安心は出来ない。私は兵たちに気を抜かぬようにと厳命した。
案の定、連中は体制を立て直してやってきた、今度は徒歩だ。そして、やや離れたところから整列して一斉に矢を放った。
遠距離だというのに驚くべき勢いで矢が飛んできて、我々の上に降り注いだ。私も自分の盾を翳して矢を避ける。シルフィン様には護衛の者を付けてあるから大丈夫だとは思うが心配だ。
激しい矢の応酬になったが、敵がここからだけ来るとは限らない。私がそう思った時、シルフィン様が叫んだ。
「この隙に周囲から敵が忍び込もうとしてくるわよ! 警戒しなさい!」
なんとも勇ましいお姫様だ。そして視野が恐ろしく広いと思った。激しい戦いを目の前にして、戦場以外の事に目を向けられる者は多く無い。
そして、城の反対側から襲撃を知らせるドラの音が聞こえると、シルフィン様は物凄い勢いで吹っ飛んでいった。レイメヤーとミレニーと護衛の兵士が慌てて後を追う。私は呆れ返ったが、あれならシルフィン様にお任せして良さそうだ。私は目前の敵に集中した。
敵は何度か、そしていろんなところから侵入を図ったが、それら全てを撃退することに成功した。私はホッとしたが夜間も警戒せねばならず、興奮していたこともありその日は全く寝ることが出来なかった。
ところがシルフィン様はしっかりご就寝なさったとのことで、なんとも肝の太いお人である、ただ、総大将の度胸が良いのは歓迎される事だ。
実際、この日以降の戦いで、シルフィン様は一度も怯むことも畏れを見せることも、動揺することすらなかった。私が長期の籠城に不安になって、シルフィン様を脱出させようと考えた時も逆に諌められ、落ち着かされた程だ。
籠城は士気を保つ事が難しい。半月で来るはずの援軍が、いくら待っても来なかったなどという事になれば尚更だ。食料は切り詰めねばならず、夜襲に備えるために十分な休養も出来ない。敵はこちらよりも遥かに多い。
そういう絶望してもおかしくない状況下、我々が最後まで結束して戦えたのはシルフィン様が指揮を取ったからだ。シルフィン様に対する絶大な信頼が私たちを支えたのである。
何しろシルフィン様は城中を駆け回り、兵士たちを督戦し避難民を励まし、時には自ら石を投げ落として遊牧民と戦った。人員がいなければ見張りを買って出て、徹夜で見張りを務めて兵士たちを休ませたことさえある。
そんなシルフィン様を見ていたら帝国軍人として弱音は吐けない。私も兵士たちも厳しいながらも踏ん張る事ができた。
そして避難民たちも全力で戦ってくれた。城に収容された避難民は要するに身寄りの無い者たちばかりだった。老人、未亡人女性、孤児、なんらかの理由で領都を離れられない者たち。
その中には奴隷身分の者も含まれていた。主人が逃げてしまって置いて行かれて途方に暮れていたのである。彼らは勝手に領都を離れると罰せられてしまうのだ。
私は奴隷は収容しないでも良いのでは無いか? とシルフィン様に言ったのだが、シルフィン様は承知しなかった。シルフィン様は分け隔てなく彼らも城に迎え入れると、どんどん彼等にも仕事を振った。
奴隷たちもシルフィン様に感謝して「自分たちも戦う」と言ってくれた。おかげで戦力を僅かにでも増強することが出来たのである。奴隷は戦地で捕虜になった者が多いから、戦闘の経験がある者も多いのだ。この場合、裏切りを考える必要は無い。奴隷にとっても遊牧民は命を狙う敵なのだから。
奴隷の中には数名の娼婦が混じっていた。彼女たちは進んで兵士たちの相手をする事を申し出てくれた。その代わりにシルフィン様と侍女、そして避難民の他の女性には手を出さぬようにと言って。これは城内の結束を保つ上で重要な事だったので、私もシルフィン様も彼女達に感謝しつつこの提案を受け入れた。
このことからも分かるように、シルフィン様は高位貴族婦人であるにも関わらず、考え方も行動も極めて柔軟であり、すぐに戦場の汚さに適応してしまった。
敵へのダメージを増やすために、こちらの投石用の石が不足したと見せかけ、嵩にかかって攻め寄せて来た所を引きつけて一気に反撃するなど、一端の戦術まで使い出していた。
投石用の石が不足した事があったのだが、シルフィン様はあっさりと城の塔を一つ分解してしまうことを指示した。公爵家の城なのだから損壊を決定する権利はシルフィン様にも無いはずだが、判断に一切の躊躇がなかった。
それでいてシルフィン様は遊牧民の死には傷ましそうな表情を見せ、遊牧民が仲間の死体を回収しに来る際には攻撃を許さなかった。こちらの兵士が射られて何人か死んだが、シルフィン様は必ず、涙を浮かべながら埋葬に立ち会っていた。
そうしたシルフィン様の四面六臂な活躍に付いて行くのは私でも困難だったが、女性である侍女達にはとても無理だったようで、レイメヤーはある時ついに寝込んでしまった。
レイメヤーは侯爵家の三女であり、魔力が多かった事もあり、城砦の門にある魔力砲に魔力を込める役目を私と共に仰せつかっていた。それで私とレイメヤーは少しは話をする仲になっていた。
寝込んだと聞いて心配になった私は、シルフィン様の許可を得てレイメヤーを見舞った。シルフィン様がどうしても、と言って無理やりシルフィン様が使うべき城主のベッドに寝かせたらしい。レイメヤーはやつれてはいたが、それでも十分に高貴な女性の雰囲気を漂わせていた。
「大丈夫か? レイメヤー」
私がベッドサイドで声を掛けると、レイメヤーは目を薄く開き、呻くような声を出した。
「……シルフィン様を、お願いいたします」
「勿論だとも。シルフィン様は大丈夫だ。しっかりお守りしている。それよりも、君をだな……」
私が言うと、レイメヤーは出し抜けに整った顔を歪め、ポロポロ涙を流して泣き始めた。私は仰天だ。オロオロしていると、レイメヤーは涙声で言った。
「私は、自分が情けなくて仕方がありません。私がシルフィン様をお守りしなければなりませんのに、力が足りず……」
シルフィン様がレイメヤーを信頼し、大切に思っている事は、彼女を自分が使用するベッドで休ませている事でも明らかである。私は心配する必要は無いと慰めたのだが、レイメヤーはボロボロと泣いてしまって手が付けられない。
普段凛としているレイメヤーの崩れっぷりに私は動揺し、終いには彼女の頭を抱いて子供を慰めるように頭を撫でる羽目になった。
この日以来、私とレイメヤーの距離は近くなり、私は籠城中、何かと彼女の事を気に掛けるようになった。もっとも、この時は恋愛している場合ではなく、それ以上の事は全く無かったのだと強く強調しておきたい。色気に溺れて役目をおろそかにする事など無かったのだぞと。
◇◇◇
結局籠城は一ヶ月以上に及び、流石に私にもシルフィン様にも焦りが出てきた。私はシルフィン様と図り、密かに城砦から兵士を脱出させ、南の領地境へと偵察に向かわせた。
この頃には遊牧民も慣れない攻城に疲れ果てており、こちらへの警戒も緩んでいたので問題無く偵察を出す事が出来た。
すると、同じタイミングで遊牧民から和平の申し入れがあった。ただ、開城は出来ない相談だ。しかしながら交渉すれば時間稼ぎにはなるだろう。
私は流石にもう救援は秒読みだと読んでいた。あと数日粘れば救援が来るその僅かな時間を安全に稼げるのならそれに越した事はない。
案の定、遊牧民は開城を要求してきた。安全は保証すると言ってもそんな事が信じられる筈がない。それに、この城砦には連中を満足させされる物資など溜め込まれていないのだ。
しかし言下に断る事はせず、私とシルフィン様はアレを使う事にした。そう。私とレイメヤーが一ヶ月かけて使用可能な状態に仕上げた魔力砲だ。
そして、翌日、私はこちらに偉そうに要求を突きつけてくる遊牧民に向けて(少し外して)魔力砲を放った。
「撃て!」
その瞬間轟音が鳴り響き、地面が炸裂して騎乗していた遊牧民は全員吹き飛ばされて落馬した。そして、這々の体で逃げて行く。見たか! これが帝国の誇る魔力砲だ! と思うとともに、私はレイメヤーに「君が魔力を毎日しっかり込めてくれたからここで使えたのだ」と言ってあげたかった。実際、私は戦闘指揮のために疲労を避けるためにそれほどは魔力を供給出来ないのに対し、レイメヤーはギリギリまで魔力を込めていた。彼女が寝込んだのはそのせいでもあるのだ。
遊牧民たちはそのまま尻尾を丸めて逃げ出した。北へと逃げて行く。私はこれを見て、やはり援軍は南の領地境まで来ていたのだな、と思った。これ以上粘る事は難しいと判断したのだろう。
領都から遊牧民が消えた事が分かり、私たちは歓喜を爆発させた。全員が飛び跳ね、抱き合って喜ぶ。いろんな者達と喜びを分かち合う中、たまたまレイメヤーと巡り会った。私とレイメヤーは躊躇なく抱き合った。
「やったぞレイメヤー!」
「ええ。ええ! 貴方のおかげですわ。アーセイム様!」
「なんの! 君の働きのおかげでもあるし、何よりもシルフィン様のお手柄ぞ!」
私たちは涙を流しながら手を取り合い、即席のダンスを踊ったものだ。周辺の者達が囃し立てるのも構わず、私とレイメヤーは笑顔で踊り続けた。
◇◇◇
なんと驚いた事に、援軍を率いていたのはヴィクリート様だった。戦地に将軍として赴いていた筈のヴィクリート様がどうしてまた、と思ったのだが、シルフィン様が心配で駆けつけて来たのだろうという事は理解出来た。
城門の前でシルフィン様の姿をみとめ、獣のように喜びの咆哮を上げたヴィクリート様の姿を見て、私は嬉しく思うと共にヒヤッともした。このご様子では、もしもシルフィン様を失っていたら、私は死しても許されなかっただろうな、と思ったのだ。
しかしお守りしきった私に、ヴィクリート様はこの上無い感謝を下さった。私の手を握り、何度も何度も頭を下げてくださったのだ。皇族の方が下位の者に頭を下げるなど滅多にない事だ。
「ありがとう! よくやってくれた! 流石はアーセイムだ!」
ヴィクリート様もシルフィン様もお二人で感謝を下さり、ヴィクリート様はその場で、私を正式な伯爵に推す旨を確約して下さった。レクセレンテ次期公爵の推薦があれば授爵は確実だろう。私は喜び、同時にレイメヤーの事が頭に浮かんだ。
レイメヤーは現在、伯爵夫人の地位にある。家を授かっている貴族婦人は未婚でも「夫人」の称号を帯びる。もしも本当に私が爵位を得て家を興す事が出来るのであれば、伯爵夫人であるレイメヤーを妻にする事でより家の格を上げる事が出来るだろう。
そう自然に考えてしまうくらい、私はレイメヤーと親しい間柄になっていた。年齢も近いし、お互い主君への忠誠心が高いので考え方の波長が合ったのだ。二人で協力してヴィクリート様とシルフィン様のお世話をしている内に、私は彼女を妻に迎えたいと思うようになっていたのだ。
ヴィクリート様たちと草原まで出向き、シルフィン様が聖女になられるという大事件に立ち会い、その感動を共に分かち合う経験をするなどして、私の想いはどんどん強くなっていった。そして彼女も、次第に謹厳な表情を柔らかくして私に対してくれるようになった。
帝都にご帰還なさったヴィクリート様は約束を守って下さり、すぐさま私への叙爵を紋章院と元老院にご提案下さった。そして戦勝の凱旋式における凱旋将軍の乗る馬車の御者に、私を任じて下さった。これは大名誉であり、家の格がそれだけで上がる出来事である。
そしてヴィクリート様は私を自分の秘書官に任ずると仰って下さった。軍事だけでなく政治の事にも関わって貰うと仰った。これで私は伯爵になり、公爵閣下の秘書官になるという大出世を遂げることとなったのである。
元老院の許可も下り、皇帝陛下の御承認も得て、私は新たな伯爵家、ハインゴールド家を立ち上げることとなったのだった。実家の兄も大喜びをして祝福してくれた。当然、妻を迎えなければならないのだから、一族の令嬢を紹介しようと言ってくれたが、私は断った。もう心に決めた人がいたからだ。
私は満を持してレクセレンテ公爵家を訪れ、レイメヤーを呼び出してもらい、公爵邸の豪華な応接室で彼女に求婚をした。正式な作法に則り、彼女の前に跪いて彼女の右手の平にキスをしたのだ。
……しかし、返答は「否」だった。即答だった。「私は結婚する気はございません」とはっきりと断られた。
……予想通りの答えだった。シルフィン様への忠誠心篤いレイメヤーなら、生涯シルフィン様への忠誠を貫くために結婚など考えないだろうと思ったのだ。
しかし、それを知っていた私はシルフィン様に根回しをしておいた。先にヴィクリート様に私がレイメヤーに求婚する旨を伝えておいたのである。ヴィクリート様は驚き、シルフィン様へ伝えておくと言って下さった。
私が求婚した後、シルフィン様は熱心にレイメヤーへ私と結婚するようにと勧めて下さったようだ、レイメヤーは何度も固辞したようだが、シルフィン様は「レイメヤーにも幸せになって欲しい。アーセイムなら武勇も誠実さも申し分無い」と仰って、粘り強くお勧め下さった。
「シルフィン様がどうしても貴方と結婚しなさいと言ってきかないのです」
とレイメヤーが仕方なさそうに私の求婚を受諾してくれたのは、求婚してから半月が過ぎてからだった。条件は、シルフィン様の結婚式を完全に終えてから、という事だった。いかにも彼女らしい。
◇◇◇
私はこうして伯爵となり、レイメヤーを妻に迎える事ができた。私たちの結婚式は主君の結婚式の半年遅れで行う筈だったが、シルフィン様の懐妊が発覚したためにレイメヤーが「ご出産までは付き添いたい」と主張して更に遅れる事となった。
帝都にお屋敷を構え、領地も頂いた。私とレイメヤーは仲良く伯爵夫妻としての生活を始めた。
レイメヤーはそもそも侯爵家の三女で、伯爵夫人にもなっていたので独自の社交をしていたから、ごく普通に社交界に入って行く事ができたようだ。それに彼女は社交界入りした瞬間から、シルフィン様最側近という地位に就く事になる。我がハインゴールド伯爵家の社交界での地位は伯爵家としては最高レベルの位置からスタートしたのだった。
私はヴィクリート様の秘書官として、以前と同じように出張をこなす事を求められた。私には否やなかったのだが、これはシルフィン様の反対によって、かなり出張は減ることになった。ヴィクリート様は苦笑して仰った。
「新婚のレイメヤーが泣いてしまうではありませんか! と怒られた」
結局、最初の子供が生まれるまで私は出張は控え、その後は徐々に出張を増やすことになった。とはいえ、私も家の主人として忙しいので、出張出来る部下を作って対応しなければならなくなっていったが。
そういうヴィクリート様は公爵になっても相変わらず旅がお好きで、シルフィン様と一緒に帝国の色んな所を旅していらした。
だが、その度ごとに帝国の色んなところで何やら騒動を起こし、私やレイメヤーが後始末に奔走する事にもなったのではあるが。
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「私をそんな二つ名で呼ばないで下さい! じゃじゃ馬姫の天下取り 」(SQEXノベル)イラストは碧風羽様。「貧乏騎士に嫁入りしたはずが!? 」(PASH!ブックス)イラストはののまろ様です。好評発売中です! 買ってねー(o゜▽゜)
【本編完結】芋くさ男爵令嬢は道端で次期公爵を拾う 宮前葵 @AOIKEN
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