逃げない、勇者たち。

 少し前の話ですけど、有料配信でとあるTVドラマを見ました。「偽装の契約結婚をしたカップルが、やがて……」というラブコメです。恋愛に疎い男女がビジネスライクに接する描写に、夫婦そろってハマったものでした。

 この小説にも、そんなテイストを感じています。もちろん、それだけではありません。この作品には独自の深みも用意されています。

 あえて現代日本の専門用語を使わない矜持ある描写で浮かび上がる、男主人公が抱える苦悩。それは、現代日本の医療問題(ノンフィクション)そのもの。そしてその苦悩は、やがて異世界勇者が持つ(フィクション)の苦悩とシンクロしていくのです。切れ味のある台詞でそのシンクロが表現される醍醐味は、ぜひご自分の目でお確かめください。

「逃げ恥」にハマったかたと、意義ある異世界モノが読みたいかたにオススメ。
 25読/35続にてレビュー。

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