異世界は今日も平和である

@Valth

異世界は今日も平和である

「くっくっく……これで貴様に味方するものなどいなくなった さぁ 降参するのだ、勇者よ」

魔王がそう言い放った

すでに最初はたくさんいた仲間たちも全て魔王の配下となってしまった

だが、ここで諦めてなるものか

「いやだね! 絶対にお前に負けたりなんかしないッ!!」

勇者ならば最後まで魔王に抗わなくてはならない

そして、俺は魔王と戦い続けることを決意した


そして、

「王手 詰みだ、勇者よ」

「クソッ! また負けたッ!?」

俺はまた負けてしまった


---


時は遡ること三年前

人間と魔族は長いこと前から戦争をしていた

それはもう戦争が始まった理由を誰もが忘れてしまっているほどに

そして、いつしか人間側はこの状況を打破しようと異世界から勇者を召喚した

召喚された勇者はいわゆるチート持ちで、とても強かった

しかし、勇者は魔族を誰一人として殺さなかった

勇者はその誰一人止めることのできないその圧倒的な力を使い、その何百年間誰も止めることのできなかった戦争をたったの一か月で平和的に解決したのだ

(ちなみに、勇者曰く「理由も知らずに戦ってるのなら、なんで続ける必要があるんだ?」とのこと)

それから人間と魔族は勇者によって協定を結ぶことになり、それから二年ほど勇者が勝手に作り上げた協定のための手続きに二つの種族は追われることとなった。


---


「にしてもマジで頭いいな…… 最初の一戦目からずっと負けっぱなしなんだからせめて一回ぐらい手加減してくれよ」

「いやだの 手を抜いてしまってはうぬが成長せぬだろう」

「差が圧倒的過ぎて全くもって成長してるようにかんじられねぇ」

「うぬが弱いのが悪いのだ」

「勇者だからってそうやってスパルタ教育するのやめてくれよ 終いにゃ泣くぞ」


異世界は今日も平和である

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

異世界は今日も平和である @Valth

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ