名探偵の推理――ではなく、物語の構成に喝采を

5,089文字。
本作の文字数です。
推理小説を一作作るのに、この文字数で過不足なくできるでしょうか?
推理小説には、必要な要素があります。
事件。犯人。証言。証拠。アリバイ。トリック。動機。そして解決。
このすべてが、きちんと本作にあります。
――しかも、とんでもなく強引な方法、つまり「異能力」での推理という形で。
推理をぶっ飛ばし、証拠を消去し、動機を一瞬で理解し、事件は解決。
しかし同時に、修復不可能に。
後半の主人公への依頼の数々は思わず笑ってしまうものばかり。
探偵としてはともかく、異能力としては破格の事象への干渉。
最後まで読めば、見事に作者の掌にいたことが分かって愉快になれます。
おすすめです!