第2話 脚本 第一場 シーン2 レイジとカズヤ

~ 第一場 登場人物 ~

◆A家

アリサ(浅香晴美あさかはるみ

エリコ(アリサの妹・中澤慈代なかざわやすよ

アリサの父(野上良一のがみりょういち

アリサの母(佐山あゆみ)

◆Z家

レイジ(桐原英司)

◆M家

マサト(河合雅也)

ユキナ(マサトの妹・春川啓子)

◆その他

カズヤ(レイジの親友・清田樹きよたいつき

◆エリコとユキナの友人

友人K(木原芽衣きはらめい)、友人L(鹿島瑞葉かしまみずは)、友人M(三島友里恵)

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第一場

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〇シーン2 レイジとカズヤ

〇アリサとマサト 街でデート

・舞台下手(客席から見て左)に数人の人の集まり

・舞台中央奥にワッフルの移動販売キッチンカー

・キッチンカーの前 エリコとユキナの友人K、友人L、友人Mの三人



(舞台下手(客席から見て左)から上手に向かって一組の男女のカップルが腕を組んで通り過ぎて行く)

(舞台上手(客席から見て右)から下手に向かって男子学生四人が楽しそうに話しながら歩いて行く)

(舞台の下手からエリコとユキナがショップ袋を肩にかけて歩いてくる。キッチンカーの前にいる友人K、友人L、友人Mに気が付く)


エリコ   「あら……メイじゃない」

友人K   「(振り返り)エリコとユキナじゃない。どこかに行ってたの?」

ユキナ   「(ショップ袋を見せながら)うん、ちょっと買い物ね」

友人L   「そうなんだ。ワッフルおいしいよ」

エリコ   「ほんとおいしそうね」

友人M   「エリコたちも食べなよ」

ユキナ   「そうだね」


(マサトとアリサが舞台上手から歩いてくる)

(ユキナが二人に気付く)

ユキナ   「あ、お兄ちゃんにアリサさん」

エリコ   「お姉ちゃん。マサトさん、こんにちは」

マサト   「エリコちゃん、こんにちは。今日はお姉さんとデートなんだ」

エリコ   「知ってる」

ユキナ   「アリサさん、ワッフル食べませんか? おいしいですよ」

アリサ   「どうしようかなあ」

マサト   「買ってあげるよ」

アリサ   「ありがとう」


(みんなで話しながらワッフルを食べる)


(そこにレイジとカズヤが通りかかる)

(レイジとカズヤが舞台下手から歩いてくる。カズヤがアリサとマサトに気付く)


カズヤ   「あれ……アリサちゃんじゃないの? マサトと一緒なの?」

(アリサがあからさまに嫌な顔をする)

(レイジは遠くの方を見るような素振りをしている)

カズヤ   「アリサちゃん、もうすぐレイジと結婚式だよね……おれも行くから」

ユキナ   「あなたはなんなの? なによ。そんな結婚式知らないわよ」

カズヤ   「だれ? 君」

ユキナ   「アリサさんとエリコの親友だけど……そんな招待受けてないわ」

カズヤ   「アリサちゃんのお父さまとお母さまが、君は招待してないんじゃないの?」

(ユキナがカズヤをキッと睨む)

カズヤ   「(少し微笑んで)怖いな……でも、君きれいだ。好きになりそう」

(ユキナがもう一度、睨みつける。ユキナを止める様にエリコが前に出る)

エリコ   「姉さんの結婚式には私もユキナも行くのよ。ただし、そこにいらっしゃる方の結婚式に行く予定はないわね(レイジの方を見て言う)」


(レイジが振り向き、カズヤの肩に手を乗せ。行こうと促す)

レイジ   「まあ……どうでもいい。由緒ある家系ってのはさ。好きとか愛しているとか、そんなことで結びつくもんじゃないんだよ。庶民の立ち入るところじゃないんだ……な。」

(エリコがもう一度レイジの方を睨みつける)

エリコ   「ばっかじゃないの。いつの時代よ」

レイジ   「だよな」

(レイジはカズヤの肩に腕を回し、もう相手にするなというように背を向け歩いて行く)

(レイジとカズヤ・舞台上手にハケる)


(エリコ、レイジとカズヤの方を蹴るような仕草をする・舞台の上手の方に向かって蹴るような仕草)


エリコ   「あーーーー腹が立つ! 腹が立つ! 腹が立つ! なに? ねえ、今のなに? (レイジの真似をして)『好きとか愛しているとか、そんなことで結びつくもんじゃないんだよ。庶民の立ち入るところじゃないんだ……』ってなに? ねえ。あーーー! 庶民でよかった! 塩まいとけ! 塩! 庶民的精一杯の攻撃よ!」

(エリコが舞台上手に何かを投げるような仕草をする)


(アリサとマサトが顔を見合わせる)

エリコ   「マサトさん、あんな人のこと気にしないでね。マサトさんは絶対お姉ちゃんと結婚してよ。あんな人とお姉ちゃんが一緒になったら誰も幸せにならないよ。いろいろ言ってるけど、お父さんもお母さんも幸せになれないよ……」

アリサ   「エリコ、ありがとう……私とマサトさんでなんとかするから」

マサト   「本当になんとかするよ。ありがとうね」

ユキナ   「でも、あんな変な人たちに楯突いちゃだめよ。何考えてるかわからないんだから」

エリコ   「思考回路がおかしいのよ。ほんと、一体、いつの時代にとらわれてんのよ」


(アリサとマサトがもう一度顔を見合わせる。アリサとマサトがエリコとユキナに向かって話しかける)

アリサ   「じゃあ、私たちは行ってみたいお店があるから行ってくるね」

エリコ   「わかったわ。もしまたあの変な連中に出会ったらスマホで呼んでね。かけつけるから」

マサト   「ありがとう。エリコちゃんは心強いね。でも大丈夫だから。ユキナもありがとうな」

ユキナ   「(微笑みながらアリサとマサトを見て)ごゆっくり」

マサト   「みんなはそんなに遅くならないようにね」

(エリコとユキナの友人三人はアリサとマサトを見送るように)

五人    「はーーーい」


(アリサとマサトが手を振って舞台下手に歩いて行く)

(アリサとマサトが舞台下手で一度立ち止まる)


マサト   「アリサちゃん、今度、一度、アリサちゃんのご両親にきちんと話に行くよ」

アリサ   「(少しうつむくようにして)ありがとう。マサトさん。でも、たぶん説得するのは難しいと思うの」

マサト   「それでも、話さないと」

アリサ   「(頷きながら)ありがとう。私の方からも両親に言っておくわ」


(二人は手をつないで舞台下手の方へ歩いて行く)

(アリサとマサト・舞台下手にハケる)


(暗転)

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子羊たちは眠らない 第六章 リハーサル KKモントレイユ @kkworld1983

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