第1話 脚本 第一場 シーン1 アリサとエリコ

「悲劇に微笑みを」

脚本 松宮麗まつみやうらら


演出 宮原一美みやはらかずみ(劇団クローバーみつば感)

音響 竹内壮一たけうちそういち(新東京サウンドウエーブ)

照明 青野陽介(青野舞台照明)

舞台監督 市原誠

道具 富山洋一とみやまよういち

衣装 三上多香子


~第一場~

アリサとマサトは恋人同士で仲良くしていた。アリサの妹のエリコも二人を応援していた。マサトの妹ユキナとエリコは仲が良かった。ユキナも二人を応援していた。

アリサの両親はZ家の御曹司レイジとアリサを結婚させることをZ家の両親と約束していた。

カズヤはレイジの親友でありレイジとアリサの結婚を望んでおり、アリサとマサトの結婚を許さない。


~ 第一場 登場人物 ~

◆A家

アリサ(浅香晴美あさかはるみ

エリコ(アリサの妹・中澤慈代なかざわやすよ

アリサの父(野上良一)

アリサの母(佐山あゆみ)

◆Z家

レイジ(桐原英司)

◆M家

マサト(河合雅也)

ユキナ(マサトの妹・春川啓子)

◆その他

カズヤ(レイジの親友・清田樹きよたいつき

◆エリコとユキナの友人

友人K(木原芽衣きはらめい)、友人L(鹿島瑞葉かしまみずは)、友人M(三島友里恵)


~~~~~~

第一場

~~~~~~

〇シーン1 アリサとエリコ

〇アリサの家・アリサの部屋

・舞台下手(客席から見て左)にクローゼット、ドレッサー

・舞台中央奥にアリサのベッド

・舞台下手(客席から見て左) アリサ、舞台中央 アリサの母



アリサ   「(出かける準備をしながら)今日はマサトたちと食事に行くの」

アリサの母 「アリサ、あなたマサトさんと仲良くしているようだけど、あなたはレイジさんと一緒になるのよ。いつまでもマサトさんたちと遊んでばかりではだめですよ」

アリサ   「(母の方を見ないで出かける準備を続ける)私、レイジさんとは結婚したくないわ。どうして、そんなことを決められているの? 今どき、そんなものにしばられたくないわ」

アリサの母 「お友達と結婚はちがうの。結婚は家と家のつながりです。決まっているのですよ。ずっと前から」

アリサ   「あら、おかしいわ。今どきそんなこと言ってる人はいないわ。私の友達もみんな好きな人と結婚してるのよ」

アリサの母 「(溜息をつく)そこらのお家とは違うのよ。この家とレイジさんの家は由緒ある家柄なのです。あなたのお友達たちとは少し違うの」


アリサ   「あ、マサトさんから電話よ。お母さま少し部屋を外してくれないかしら、私マサトさんとお話するの」

アリサの母 「まあ、人の話を聞いているのかしら?」


(アリサの母・部屋を出て行く・舞台上手(客席から見て右)にハケる)

(エリコ・部屋の入り口から覗き込む・舞台上手袖(客席から見て右)から顔を出す)

(エリコ・微笑みながらアリサの部屋に入ってくる)


エリコ   「姉さん、また、お母さんと喧嘩していたの?」

(アリサ何も応えず出かける準備をしている)

(エリコは微笑みながらアリサに話しかける)

エリコ   「マサトさんたちじゃなくて、マサトさんと……でしょ」

アリサ   「聞いてたの?」

エリコ   「でしょ」

アリサ   「そうよ」

エリコ   「マサトさんとデートなの?」

(エリコはアリサのベッドに座る)

アリサ   「そうよ」


エリコ   「(ベッドに置いてあったアリサの帽子をかぶりながら)私、今日はマサトさんの妹のユキナちゃんたちと遊びに行くのよ」

アリサ   「そうなの、仲がいいものね。あなたたち」

エリコ   「みんな応援してるんだからね。私たちは味方よ。大事にしなきゃ」

アリサ   「あら、大事に思ってるわよ。でも、どうしてそんなに応援してくれるのかしら?」


エリコ   「それは、お姉さんたちが結婚したら、マサトさんはお兄さんになるんでしょ。それにユキナちゃんとも親戚になるんでしょ」

アリサ   「(? という表情で)え、あなたとユキナちゃんは……親戚になるの?」

エリコ   「いや、私が聞いてるのよ。そこは、ただの友達なのかな」

アリサ   「ん~、関係なくはないけど、姉さんとか妹ではなくて……あなたにとっては今まで通りユキナちゃんなんじゃない。家族っぽい付き合いにはなると思うけど」

エリコ   「ふーん、まあ、どうでもいいや。まあ、今まで以上につながりは強くなるんだよね。そんなことよりも、なにより、お姉さんに幸せになってもらいたいのよ」

アリサ   「(エリコが被っている帽子を取り上げながら)ありがとう」

エリコ   「もうでかけるの?」

アリサ   「そうよ」

エリコ   「じゃあ、私もそろそろ準備しなきゃ」


(エリコ・部屋を出て行く・舞台上手にハケる)

(続いてアリサが部屋を出ようとしたところに、アリサの父が帰ってくる)

(アリサが舞台上手に歩いて行く)

(アリサの父がアリサの部屋に入ってくる・舞台上手から入ってくる)


アリサ   「どうしたの?」

アリサの父 「どうしたの? じゃないだろう。おかえりなさいだろう」

アリサ   「おかえりなさい。行ってきます」

アリサの父 「そうじゃないだろう。待ちなさい。また、あのマサト君とかいう男と会うのか」

アリサ   「だれと会おうと、勝手でしょ」

アリサの父 「待ちなさい。お前はレイジさんと結婚が決まっているんだ。そうやっていつまでも学生時代の友達と付き合うのはやめなさい」

アリサ   「決まってるって何よ。今どきそんなのないわ。私はそんなこと決めていないもの」


(エリコがアリサの部屋に飛び込んでくる・舞台上手から走ってくる)

エリコ   「お父さん! 大変! 圧力なべが!」

アリサの父 「何? 今大事な話をしているんだ。圧力なべがどうした!」

エリコ   「圧力なべが! 早く来て!」

(エリコに引っ張られてアリサの父が部屋を出て行く・舞台上手にハケる。)

アリサの父 「アリサ。ちょっと待っていなさい」

エリコ   「圧力なべがー!」

(エリコは部屋を出て行く前に振り返りアリサに「今のうち」という合図を送る・エリコ舞台袖に入る前に合図を送る)

エリコ   (声)「圧力なべー」


(アリサは急いで部屋を出て行く・舞台上手にハケる)

(暗転)

(暗転・三十秒)

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