第9話 手紙

「…、そういうわけで、錦織とチンピラ軍団、東条と実行犯の部下は即日逮捕、爆弾の計画は安川らしいです。今署で話を聞いています。友田も片桐も肝心なことはまだ話しませんが、片桐はかなり落ち着いて話す気になっているようです。荒谷は精神的なショック状態が続き、警察病院で安静にしてます。高見沢の職場からも勤め先からも一切証拠が出ていないなどの不自然な部分はありますが、高見沢と荒谷の回復を待って、さらに真相に近付きたいと思います」

 柴田の報告が終わった。

 あのカマキリの白井とゴリラの高橋が報告を受け、またなにかぶつぶつ言い始めた。

「ちょうど、高見沢と荒谷の事故に行きあうなんて出来過ぎじゃないの」

「うんうん、普通じゃありえないありえない」

「嘘くさいよな。それに断られたのに証拠もない荒谷のところにのこのこ行ったり、パトロールとしようして、再度出かけるって、どういうこと?」

「うるさいわね。パトロールしちゃいけないわけ?」

「案外、日にちを間違えたとか、忘れ物したとかだよ。いつものことだもんな」

ずばりその通りだった。でもいいんだ。

 その時、天山署の高見沢の事件の担当に会いたいという女性が来ているという。白峰がすぐ応対した。

 それは、すらりと姿勢のいい、知的な美人だった。

「高見沢の部下の深海ゆうきと申します。ニュースで事故に遭ったと聞いてきました。一昨日の夜、レストランで高見沢から、万が一の時にと手紙を預かっていたのです」

 深海ゆうきは一通の封書を渡した。

「まだ、面会謝絶なんですか」

 流石はまだしばらくは会えないだろうとけがの状態を告げた。深海はお見舞いできるようになったらぜひ知らせてくれと、連絡先を流石に託した。

 そしてもう一通手紙を取り出すと、じっと流石をみつめて言った。

「すいません、こちらは私的な手紙なんですが、渡していただけますか」

 きっと高見沢の特別な人なんだろう。迫るような何かがあった。

「承知しました」

 深海は静かに帰って行った。もう一通の手紙を渡すとき、胸のあたりが震えていた。どんな手紙だったんだろう。

 さっそくチーム白峰で集まり、手紙の中身を確認することにした。

 柴田が興味津々だ。

「高見沢は、調べれば調べるほどいい人みたいだし、犯人と名乗ったけど、証拠の品は何も出て来ないし、第一、いまだに本当の狙いがわからない。この手紙ではっきりするといいんですけれど…。先輩、また聞いていませんね。何考えてるんですか」

「いやあ、さっきの女の人、高見沢のなんだったのかとね。目が必死だったから…」

 やっぱり、この人は四次元側に時間がずれている…。

「じゃあ、白峰君頼むよ」

「は、はい」

 白峰は封書を取り出すと、ゆっくり読み始めた。

「第一章、犯行の動機…」

 そこには荒谷と五人の仲間の乗っ取り事件のこと、森の不審な死のことが詳しく書いてあった。タマラファイルの内容を裏付けるほぼ同じニュアンスのことが書いてあった。

「第二章、犯行のきっかけ…」

 それは退院後、タベルナグループのことを調べたら、森アキラオリジナルを意味するモーリア風のメニューが目についたことから始まった。やっぱり奴らは親友のレシピを盗んでいる。調べてみるとかなりあやしい。だが会社の広報は知らぬ存ぜぬだ。そこで私は何とか内部文書を手に入れようと、犯罪まがいのことを試みた。するとまったくセキュリティをかけていなかった錦織のパソコンにたやすくハッキングが成功し、五人の秘密のメールアドレスやグループ企業会議の存在を知った。そこの会議は人払いをして、提案事項以外の会議録もないのだ。きっとここでやつらは悪だくみをしているんだろう。いや、そこを逆手に取れば、森の事故のこともあぶりだせるかもしれない。奴らを脅し追い詰めれば、悪巧みの会議で誰かがポロリと真相をしゃべるんじゃないかと…。そこからこの長い長い犯行計画がはじまった。

「第三章、犯行の準備…」

 そこには驚愕の事実が書かれていた。

 自分の手足となる人材を確保するため、買い物ネットワークを立ち上げたこと。主婦たちは何も知らずに、犯行の準備や処理をやっていた事実。さらに秘密のパソコンにデータをまとめ、一つひとつの脅迫事件の地域や場所、犯人像や手口、使用する小道具服装などを全部違えて計画したこと、犯行計画が警察にも奴らの方にもばれないように、秘密のレンタル事務所を借り、すべてのデータは外付けファイルに入れて、見つからないようにしたこと、脅迫メールはすべて、ネットカフェなどを使って、身元が割れないようにしたことなどが書いてあり、さらに犯人だけしか知らないこと、例えば、弁当屋に化けて、裏の駐車場から出入りしたことや、アルテミスの矢の仕組みなども書いてあった。

「…驚きましたね。ここまで細かく計画していたなんて…。先輩のあの乗り間違えがなければ、ほとんどわからないまま終わっていたでしょうね」

 柴田が深くうなずいた。

「第四章、最終目的件について…」

 それを聞いて、柴田がのぞきこんだ。

「え、最終目的? やった、これで事件の真相がわかりますね」

 ところが、先に目を通していた流石の声が止まった。

「こ、これは、このままではまずい」

「柴田、すぐ車を出すのよ。昨日の現場にすぐ行かないと大変よ」

「了解!」

 流石はもう立ち上がって何かを探し始めた。

「丸亀さん、すいません、鑑識の藤巻さんに連絡を取ってください。作業をすべてストップし、現場の保全に努めてくれないかと」

「ほいきた」

「みんな急いで。すぐに出かけるわ」

 廊下を走り出すチーム白峰。

「先輩、いったいどういう…?」

 柴田の問いには流石は答えず、手帳の中に挟んであった小さな紙を取り出した。

「もしもし、深海ゆうきさん? はい、先ほどお会いした警察の白峰です。緊急にあなたの力をお借りしたいんです。ええ、会ったらすぐ説明します。とにかく急いでお会いしないといけないんです。今どこに? はい、じゃあ駅の前まで急いで迎えに行きます」

 車に飛び乗るとすぐ、鑑識の藤巻からの電話が入った。

「ええ、それじゃあ…。もう、出窓は完全にとりはずし、ガレキの大半は捨ててしまったんですね。いいえ、最悪はどこまでも追跡します。ええ、とりあえず、残りのものはそのままで手を触れないように。はい、そうです、あと数分で到着します」

 その時、柴田が叫んだ。

「あ、あの人じゃありませんか? 深海ゆうきさん」

 駅のロータリーの外れで、すらりとした女の人が手を振っている。すぐに拾って後部座席に乗ってもらう。

「刑事さん、これはいったい、どういう…」

「先ほどいただいた高見沢の手紙の最後に、犯行の最終目的が書いてあったんです。読みます。」

 流石は、最後の第四章を読み始めた。

「…明日私は、今まで調べたことをネタに、最後に荒谷のところに出かけます。そこで、本当のことを言ってもらえなければ、最後の手段に訴えます。それは…、盗聴です。グループ企業会議の盗聴をします。うまく行く確率は五十パーセントです。あれだけ、命も危なくなるような脅しを受けたり、荒谷を思わせるような脅迫メールを送りつけたりしたのですから、誰かが十年前の秘密をポロッとしゃべりだすかもしれない。それを録音しようというのが、この長い犯行計画の最終目的です。もちろん、電波を発信するタイプだとばれる恐れがありますから、できれば秘書の深海でも誘い、今日、変装して店に行きます。会議が行われる部屋のどこかに、三十時間駆動可能の小型デジタル録音機を仕掛けておくつもりです。どこに隠すかは、夜に店で料理を食べながら考えます。でも、警察がこの手紙を読んでいるということは、私自身が回収できなくなったということです。お願いです、奴らに見つかる前に、早く回収してください。どうかこれだけはよろしくお願いします。そして、森の死の真相を明らかにしてください。お願いです。」

 柴田が信じられないという顔をした。

「まさか…、親友の死の真相を探るために…ここまでやるとは…」

「事故の時、高見沢さんは言ってたわ。これは神様の罰だって、当然のことだって…。でも、ここまで彼を追い詰めてしまった警察の責任もあるかもしれない…」

 流石の言葉に丸亀が言った。

 昨日、深夜から今日の午前中にかけて現場検証が行われ、邪魔で危険なガレキなどはもう処理が始まっているらしい。荒谷の部下たちも出入りを始めている…。急いで回収しないと…。」

 柴田が、静かに聞いた。

「深海さん、おととい一緒に高見沢と店に行きましたか」

「はい、おとといの夜八時から十時近くまでタベルナ・ソレオ一号店の個室に高見沢といました。そのあと、店の前で別れました。間違いありません」

「彼が小型の録音機を隠すところを見ましたか」

「いいえ、そのような行動は一度もなかったと思います。、担当のウエイターがしょっちゅう出入りしてましたから、高見沢さんもあやしい動きはできなかったと思います」

 柴田がうなった。

「じゃあ、仕掛けられないでそのまま帰ったのかな」

 流石がきっぱりと言い放った。

「何もしないで帰るはずないでしょう!」

「深海さん、おとといの記憶をたどって、高見沢が録音機をしかけた瞬間を思い出してください。頼みます」

 丸亀の言葉に深海は色々と思い出してみた。おととい、自分が先に行って部屋で待っていたから、その前に隠すわけはないし、トイレに行ったのは個室を出てからだし…。最初に高見沢は部屋のあちこちを見ていたけれど、後は座席に座ったままだったような…。

「あ、見えてきました、タベルナ・ソレオ一号店です。あちゃー、もう、結構片付けが進んじまってるな」

 柴田が、駐車場に車を停め、みんな駆け下りる。急いで現場に駆け寄ると、藤巻が顔を出す。

「今、客席の方の調べを終わらせるところです。個室の方は、今作業をストップさせています。

「ありがとうございます」

 ところが、すっかりはずされ大きな口の開いた出窓から近付くと、こそこそと裏口のあたりに逃げていく人影があるではないか。

「ちょっと、あなたたちなんですか。今、捜査のため現場には立ち入り禁止ですよ」

 すると背の高い荒谷の部下の反町が男たちを連れ、ごそごそと何か調べている。

「店の復帰を急ぐために下見をしているだけです。はいはい、すぐ退散しますよ。これでいいでしょう」

「油断も隙もあったもんじゃない。藤巻さん、あいつらマークしておいてください」

「すみません。わかりました」

 鑑識の結果、シャンデリアのワイヤーには切れ目が、大型モニターの取り付け金具がわざとはずしてあったという。散乱した爆弾の破片や部品の回収が終わり、署でこれから詳しく調べるという。

「…そういうわけで、小型のデジタル録音機がどこかに隠してあったはずなんです」

「今のところ見ませんねえ。せめてどの辺にあるかどうかわかればいいんですが…」

 大きなガレキは取り除いたとはいえ、中はまだメチャクチャで、しかもシャンデリアやグラスの破片も多く、まだまだ危険だ。

「ええっと、このドアから入ってきて、私たちはこことここに座っていたんです。この近くだとは思うんですけれど」

 深海がそーっと歩きながら説明する。

 だがそのあたりは飾り棚から散乱した瓶や小物が散らばり、シャンデリアの破片とあいまって、見つけ出すのは至難の技だ。

 とりあえず、みんなで飾り棚の付近を中心に探すことにした。しかししばらく探したが、デジタル録音機は見つからない。

「せめて、どんな色や形なんでしょうかね」

 すると鑑識の藤巻が答えた。

「最近は小さいのが出回ってますからね。まあ普通のものなら、万年筆ぐらいのものはありますね」

「そりゃあ、かなり小さいなあ。瓶の中や小物の裏側につけられたらわからないなあ」

丸亀が深海にたずねた。

「ええっと、高見沢さんは、箱だとか、小物だとか持ってきませんでしたか」

その言葉を聞いた深海ははっと思い出した。

「そうだ。私、高見沢さんから花束を頂いたんですけれど、なぜか鞄ではなく、紙袋に入れてあって…、花束を出すときに、お菓子の箱がこぼれたんです…」

「はい?」

 みんな、何の話だろうと面食らった。しかし、違うところに食らいついたやつがいたあ。

「お菓子って、何のお菓子? まさかチョコじゃ」

「私の前で、キャンディーちゃーん、ショコラちゃーんとおどけながら、その足元に落ちたお菓子の箱を拾っていたんです」

「さっき、テーブルの下を調べていた時、なぜかチョコのおいしそうな匂いがするって思っていたのよ」

「本当ですか。だとしたら、高見沢は物を落としたふりをしながら、テーブルか椅子の下に取り付けた可能性が大きいですね」

 流石がさっそく犬のように四つん這いになって探し始めた。

「くんくん、やっぱりね。この匂いは、結構値段の高い高級チョコかしら…」

 そうなのだ。高見沢は深海を笑わせながら、あんなにおどけて、ギリギリの仕事をやってのけていたのだ…。

 あの時の高見沢のおどけたセリフや顔が浮かんできて、深海は目頭を熱くした。

「あったわ」

 それはテーブルの木の色とそっくりな、チョコレート色の小箱だった。両面テープでテーブルの脚の内側に貼ってあったが、ちょっとみると木片にしか見えなかった。

箱の中に入っていたのはかなりの高感度の録音機で、店の中の音が非常にクリアに録音されていた。すぐに藤巻に分析してもらうことになった。

「ありがとうございました」

 深海はお礼をいうと、流石の手をギュッと握った。流石はちょっとだけ誇らしかった。


 それから数日後、意識を取り戻した高見沢は、普通病棟に移された。足の骨折も痛いが、一時は内臓を強く打って生死の境をさまよっていたのだという。医師が来て、あと数日でお見舞いも可能になるだろうと告げた。

 さらに看護師が来て、警察の方が、少しだけ会いたいと言っているのでよろしいですかとのことだった。

「はい、もちろんお願いします」

 少ししてやってきたのは白峰流石だった。

「長い時間はダメだと言われているので、簡単にお話します」

「はい…」

「まず、録音機の回収は成功しました。会議にでた全員が、十年前の森さんの事件について秘密事項をしゃべっていました。森さんは無理やり店に呼ばれ、だまされてアルコール入りのカクテルを飲まされ、ノートをその間に奪われ、ブレーキが効きにくいように仕掛けられた車に乗せられたと、はっきりわかりました。再捜査が行われることは間違いないでしょう」

 それを聞いた高見沢は、しばらく黙ったままだった。最後にぽつりと言った。

「ありがとうございます」

「それから、深海ゆうきという人から手紙を渡してくれと…」

「はい?」

 白峰は、手紙を渡すと、静かに出て行った。

「森はやっぱり奴らに…、そうだったんだな」

 ここ何年間かの緊張がほどけ、あふれる思い出胸がいっぱいになった。

 でも、病院を出たら、しばらくは服役だろうな。こんな殺人未遂なんかを何件も起こしたんだからな…。でも、それは当然のことだ。報いを受けなきゃいけない。でも農家の山村さんは驚いているだろうな。公民館のみんなもあんなに良くしてくれたのに…すまなかったな。あのおじいさん、おばあさんたちも心配だし、主婦のみなさんには、なんどあやまってもすまない気がする。あと、深海ゆうきか…。あ、そうだ…。

「あれ、この手紙、やけに薄っぺらだな…」

 深海ゆうきからの手紙は、本当に薄っぺらで心許なかった。なんだかいやな予感がした。でも、思い切って開けてみた。

それは本当に短い手紙だった。

「高見沢さま。あなたが罪を償うのに何年かかっても、待っています。

そしてその時がきたら、あなたと一緒に黄金のパスタを作りたい。深海ゆうき」


 高見沢は言葉を失い、手紙をそっと握りしめた。その時白峰が戻ってきた。

 大事なことを言い忘れていたのだ。荒谷の新作レシピ計画の書類が、偶然ガレキの中から発見され、そこから、森の夢のレシピノートのコピーが出てきたのだ。それがもとで調べた結果、荒谷の事務所から、オリジナルが見つかったと。

 あのとき現場で何かを探していた反町達の狙いはそれだったに違いない。

「あの、高見沢さん、実は…」

 しかし流石は高見沢の喜びの涙を見て、そっと帰って行った。

…近いうちに本物のノートを届けますから…。


 その頃曽根崎と喫茶店にいたウタポンは、携帯を持って何度も首を傾げていた。

「おかしいわね。今日は午前中でおわるから、午後は裏道グルメの例会って言ってたのに」

曽根崎は、時計を見ながらちょっとイライラして唇をかみしめた。

「今日はね、郊外の一軒家で、米の一粒から、釣った魚、肉や野菜まで、完全無農薬で完全地産地消の里山亭だぜ。まったく知られてないけど、お客を一組しかとらないから、めったに予約できないのに…。どうしてくれよう…」

「あ、流石から電話だわ。うん、どうしたの? え、携帯の充電忘れて、もう切れそうなの? それで、なに…病院を出たら、指名手配の樺山熊次郎を偶然見かけて尾行してるって…。早くつかまえてこっちに着なさいよ。…え? うん、わかった。じゃあ…あれ、流石…」

 最後に急に切れてしまったようだ、バッテリー切れだ。

「あの天才的詐欺師、樺山熊次郎か、捕まえたら大手柄だよな。それで、どうするんだい?」

「時間に間に合わなかったら、二人で行ってくれっておっしゃっていました…」

「そうか…。じゃあ、今日は二人だけで郊外に出かけるかな。今だとあそこは、何種類もの裏山のキノコとおやっさんの釣ってくる天然ウナギが絶品だな。庭の柿のデザートは芸術品だよ。湧水だから水もうまいし、ああ、山葡萄で仕込んだワインってえのがこれまたうまくてさ」

「うわあ、すごい。行きます、絶対行きます」

 でも、ウタポンはそう言ってから胸がドキドキしてきた。二人っきりで行くのなんて初めて。そういえば、マダム・タマラの占いでは、幸せは近くにあるって言われたような…。なんだか胸の高鳴りがおさまらない…。


「樺山熊次郎、待て、天山署の白峰だ!」

「うわあ、やべえ」

 樺山熊次郎の大きな鼻の穴から荒い鼻息が噴き出した。飛びついた流石が抑えにかかる。走り出した樺山はしかし、立ち尽くした。流石が呼んだ警官が前からやってきたのだ。

「やったあ、ついに逮捕だ」

 流石は、樺山に手錠をかけると警官たちに引き渡し、その場を離れた。

「ああ、もうこんな時間だ、間に合わないかな。ええい、急ごう」

 だが、流石は一歩踏み出して、はたと止まった。

「ええ、ところで遠くまで来ちゃったけど、ここってどこだっけ?」

 さっきの警官たちは表示の出ていた坂上交差点という場所だけで来てくれたけど、もちろん自分にはわからない。

「柴田に助けを求めるか…、あれ、携帯の充電切れてるし…」

 でも、流石はすぐに顔を上げると自分に言い聞かせた。

「ええい、運命は、自分で切り開く者よ! 行っくぞー!」

 そう言い放った流石は、人に道を聞くでもなく、気の向くままに街を走り出したのであった…。

…街の風を体に感じながら…。

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天然刑事Ⅰ セイン葉山 @seinsein

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