第5話

「マーニャ!」

 美紗は叫んだが、ネレアは肩を叩いた。

「これが彼女の使命だったのですよ……」

 そのまま地球へと引き返す。


美紗は悲しみにくれていたが、マーニャが彼女の使命を果たすために地球を離れたことを理解した。それでも、彼女はマーニャがいなくなった寂しさを感じながら、彼女との思い出を大切に胸にしまった。



 ネレアとの別れが来た時、彼は感謝と別れの気持ちが入り混じっていた。しかし、彼は今までにない強い決意を持って、ネレアに別れを告げた。


「ネレア、ありがとうございました。私は、これからも海を守り、世界にこの美しい海の世界を伝えるために、頑張ります。」


彼の決意は、ネレアの心に響いたようで、微笑みを浮かべて言葉を返した。


「あなたの歌は、海の世界を浄化することが出来る」


 そして美紗は歌い始めた。


波音鳴らし 海よ

透き通る水の中

紺碧の世界が広がる

命あふれる生き物たち

優しく包む光の中


汚れや悲しみ 吹き飛ばせ

清らかな海よ 導いて

愛の歌うたい 美しく輝く

美しい海よ 浄化されよ


静かな心で 海に向き合い

感じる愛と繋がる

大切な地球の宝物を

守るために 手を取り合おう


汚れや悲しみ 吹き飛ばせ

清らかな海よ 導いて

愛の歌うたい 美しく輝く

美しい海よ 浄化されよ


 美紗の歌の波動は海水を媒体にして地球に拡がっていった。

 地球の海に隠れていた怪物たちは、一掃された。



そして、地球はマーニャたちの冒険の物語を語り継ぐことになるのだった。新たな星々を目指すマーニャたちの姿が語り継がれ、人々はその勇気と希望に感動し、夢と希望を持ち続けることができた。そして、いつかまた、彼女たちが帰ってくることを信じていた。



「……どうだった」

 ふっと我に返った。

 気がついたら、図書館の閲覧室だったのだ。

「わたし……」

 菜穂子が隣に座っていた。


「菜穂子さん、ありがとうございました。でも、あの世界は本当に不思議でしたね。」美紗は菜穂子に感謝の気持ちを伝えた。


「いえ、私が手伝えて嬉しいです。でも、もしまた行きたくなったら、いつでも手伝いますよ。」菜穂子は微笑んで言った。


「本当に、ありがとう。でも、今回はもう大丈夫です。また別の冒険を一緒にしましょうね。」


美紗と菜穂子は、図書館を出て、外の景色を眺めながらお互いの話をして帰路についた。美紗は、不思議な世界での冒険を思い出し、何か新しいことにチャレンジしたくなる気持ちが生まれていた。

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美紗の冒険! foxhanger @foxhanger

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