第7話 日本縦断開始まで十日~社用の携帯がめっちゃ鳴る~

 新しくお取引するあれそれの兼ね合いで社用の携帯がめっちゃ鳴るんですが、俺も正直取引の内容詳しく知らされてないので困るんだよな……。あなたに連絡してるのねえ、俺じゃないんですよごめんねえ杜撰だよなあ。良くねえよなあ今の会社。そのうち潰れるんじゃねえかなあ。

 まあ……あとは手と良心の届く範囲で自分に恥ずかしくないようにやるのみです。

 俺の後に来ている薬剤師のおばちゃんが機械音痴なのでとてもやばいが、それのやばさについて全て気づいている人間は俺だけみたいなのもあって本当にもう。もう俺が考えるのはやめよう。これは俺が考えるべきことではない。

 でも嫌なことばかりではなくて、次の職場に向けての準備が進んでいたり、コンプラで言えないことだったり、引っ越しのために電気やガスや水道の連絡が終わったり、楽しいこともたくさんあるんですよね。薬剤師としての色んなスキルはいまいちなんですがおじいちゃんおばあちゃんとお話する時だけは滑らない男なので、自分の強みをいっぱい活かして生き生きと働きたいですね。


 今日は特に美味しい店に行かずに実家飯と自宅飯でした。ふるさと納税の豚肉と買い溜めてた玉ねぎと少し古くなった卵と焼肉のたれで他人丼を作ります。玉ねぎを底に敷いて、豚肉の油に浸しながらゆっくりと火を通し、材料の鮮度は焼肉のたれでごまかしながら、とりあえず卵でとじておく。美味しいんだよなあこれでいいんだよこれで。

 とはいえ美味しいお店を紹介しないのもこの日記らしくないので、今日は函館市富岡町の担々麺「彩辛」さんを紹介したいと思います。このお店は今函館で一番美味しい担々麺を出すお店です。汁なしも汁ありも美味しいですが、僕のおすすめは圧倒的に汁あり担々麺。こいつはスープまで内側にしみてじんわりと暖かくなるような美味しいやつで、食べやすいんですよね。辛さと痺れを強くしても、なぜかするする入っていって、身体が元気になっていく感じがある。マジで美味い。言ってたら食べたくなってきたな……函館離れる前にもう一回だけ食べに行こう。

 ここの担々麺はですね、器も良いんですよ。この器が昔函館にあった名店「同楽舎」って谷地頭温泉のすぐ近くの担々麺屋さんの丼を継承していて、古い函館市民エルフならこの丼で担々麺食ってるだけでもうたまらんくなるんですよ。なので汁有り担々麺が僕のイチオシメニューなんです。同楽舎さんと味の方向性は全く違うんですが、あの頃の暖かな思い出が心を満たしてくれるんだよなぁ。


 飯に限らず感傷って大事だよなって海野しぃる思うワケ。センチメンタル一つで飯も文章も味って大きく変わる。気分が乗らないと仕事もパフォーマンス出せないしね。

 今自分やってること楽しい? 今自分やってることに価値を見いだせる? 今自分格好いい? みたいなのを聞きながら日々過ごしてます。人間マジで死にますからね。死ぬのなら与えられた命の全てを綺麗に使い切らなきゃ勿体ないってもんですよ。これも一度無くしたものを惜しむ感傷なんですけどね。


 というわけで今日はこんなところで。

 今日は日記も書いたし、病院も行ったし、引っ越しの準備もしたので大人しく寝ようと思います。

 また明日。

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