第5話:砕けた顔

 パラ…パラパラ…


 パシャッ…


 『…よしっ。これを送って、始末完了っと。』


 『さてと……ん?これは…』


 紙袋を持つ。


 『紙袋…〘CDショップ パノラマ〙、近くのお店ね。』


 バサッ


 彼女は躊躇なく、紙袋を開けた。それと同時に。


 ガシュン!


 『ッ!(な、ナイフ!?)』


 彼女はそれを避けるため後ろに仰け反った。


 「なんでこんなもんがって思ってんだろ?」


 『な、アンタなんで生きて!』


 「きっと、ナイフかなんか、刃物だと思ってんだろ?大ハズレだぜ。ただの紙、硬質化させたレシートだ。」


 『た、確かに頭を砕いてやったはずだ!』


 「そうだな、確かに砕けたよ。俺の〘メガネ〙がな。」


 『め、メガネ!?』


 「正確には、〘メガネ〙と〘目から流れ落ちていた血液〙だがな。俺の硬質化の能力は、体の外側から順に硬質化していく。んま、やろうと思えばやりたいとこからできるんだが。ま、そんなこたいいんだ。俺はこのメガネと血液で、自分の顔の様な〘マスク〙を創り上げたんだ。んま、マスクが浅かったせいで、鼻血が出ちまったけどな。」


 『そんなのどうだっていい!今度はテメェの玉を捻りちぎってやらぁ!!!』


 彼女はコチラに向かって走ってくる


 「あ〜あ〜そんなこと言うなって。カワイイ容姿なのにさぁ?」


 『じゃからしゃあ!!!』


 もはや何つってんのか分かんねぇな。


 バンッ! 彼女の手が俺の腹に入り込む


 『よし!入った!テメェの内蔵グチャグチャにしてやるぜおらぁぁ!!!!』


 ググググググググゥ…!!


 「……今日は寒かったんで、厚着をしてきたんだ。」


 パキッ…パキパキッ!


 「でも、もう必要無くなってきたところだったんだよ。ありがと…さん!」


 俺は彼女の腕を掴み、硬質化していく


 『あ、あぁ、嫌、イヤァァァァァァァ!!!!!』


 その叫び声を聞いた瞬間、俺は手を離しちまった。そのせいで彼女は数歩後ろに下がった。


 彼女は自分の手が一本なくなることに対し、泣き叫んだ。


 「う…や、やめてくれよ…殺しづらい…」


 『(戸惑ってるわ…やっぱりそうなのよ。男は女には勝てない。女が本気で泣き叫べば、大抵の男は戸惑い、困惑する。私の勝ちよ!)う、うううう、うわァァァァァァァァ!!!!!』


 「お、落ち着けって…わかったよ!殺さねぇ、殺さねぇから!だから、ほら、一旦こっちに来い!」


『い、嫌よ!あ、貴方が、貴方が近づきなさい!そして、私の腕の硬質化を治すの!』


 「わ、わかったよ…」


 タッタッタッ…


 『(きゃ〜♪私の勝ち!私の勝ち!皆に褒められるわ〜!)』


 ピタッ…


 『な、何をしているの、速くこっちに来て、』


 「やっぱりな、アンタ、俺が近づくごとに顔がニヤけてってるぜ。一回演技の授業でも受けてみたらぁ?」


 『はっ!ち、畜生バレた、でも…こっちにだって策はあるのよ!』


 ダッダッダッ!


 彼女は俺の方向に走り出した。


 「(また同じことを…)俺のこと舐めてもらっちゃあ困るぜかわいこちゃん…よぉ!」


 シュッ!


 「なっ、(と、通り過ぎて…)」


 『私の狙いはテメェなんかじゃないわ!私の狙いは、電車を待ちながらボーッと突っ立ってる!』


 ガシッ!


 『このガキンチョよ!!!』


 「な、ひ、人質を取られた!」


 『ふふふ…アーッハッハッハッハッハ!!やっぱりテメェはまだまだ未熟よ!私みたいな、か弱い乙女にも負けちゃうなんて!あっははははは!』


 「て、テメ、」


 『それ以上近づいてみな!近づいたらこのガキの目を潰す!アンタも大人しくしな!』


 「・・・」


 その子供は泣き叫びもしなかったし暴れたりもしなかった。正直、俺にはその子供に違和感があった。というか、見覚えが…


 「あの…」


 『あ?なんだよ、いいか言っとくけどな。助けを呼ぼうとしたりするんじゃあ』


 「いや、そうではなくてですね。」


 『は?』


 「私はただ、注意してと言いたかっただけです。」


 『何言ッ!』


 ドガッ!


 「頭上に注意…とね。」


 『あ…が…』


 頭から血が流れてる。もはや絶命だろう。いまのが絞り尽くした最後の言葉だ。


 「ろ、ローゼズさん…能力変わりました?」


 「元々俺の能力は〘相手の頭上に何かを落とす〙そういう能力なんだ。あの水は相手の動きを制限するための物だよ。でも今回はあっちから動きを制限してくれたから、必要なかった。」


 「ほぇ〜。あ!そ、そういや俺のCD!!!」


 ダッダッダッ!


 ガサッ!


 「あぁ〜割れて…ない…何で!?ん?こ、これは!」


 紙袋のそこにはスポンジと紙が挟まっていた。紙にはこう書いてあった。


 『アンタ、これからシクド退治に行くんだろ?俺には分かるぜ。落とすとアレだから、下にコイツを敷いといた。もしお陰で助かってたら今度あったときに奢ってくれよ! byCDショップの親父』


 「お、親父ぃ!マジで助かる!マジでマジカル・ミステリー・ツアーだぜ!」


 「へぇ〜いい人だね〜。[ガサゴソ]お、CANだ。あと…ジミヘンのベスト盤!いいね〜。…でもちょっと…曲がってる?」


 「は!?ちょ、ま、あの女ぁ!!やりやがったぁぁぁぁ!!!!お、おれのCDがぁぁぁ!!!うわぁぁぁぁ!!!」


続く…


 良ければ感想など宜しくお願いします!


 ここでフランツが買ったCDは個人的に私が欲しいCDです。CANのCD何処にもないんですよマジで。(TALKING HEADSも同様)

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シクド対抗連盟 あばばばばばば @aba1101

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