第2話 冒険の始まりと未知なる都市
さて、これからどうしようか……グレンと
いう名を捨て冒険者になるという漠然な目標は決められたがそれを叶えるための方法はまだ検討がついていない。公衆の面前でヒカルを追放したから、もうこの国で冒険者としては活動出来ないだろう。
ならば隣国のファルテナ公国へ向かうか……一度も公国には行ったことが無いが
だからこそ、最初から冒険者として活動するには有利になる筈だ。
「シュバルツ、ファルテナ公国へ向かうぞ。それとシュバルツ、お前はなんと呼べばいい?」シュバルツではない、やり直すための名前……俺のその言葉にシュバルツは答えた。
「俺の名前はよ、親方で良い。やっぱりな、シュバルツという名前は誇りでもあるんだ。だからよ、俺は新しく名前を名乗るんじゃなく、俺は親方だ。そうだろう? 坊主」
親方のその言葉の後、俺はもう一度親方に言った。
「親方。俺はファルテナ公国へ行こうと思う。着いてきてくれるか?」その言葉に親方は頷いてくれた。さぁ、これから始めてやろう。冒険者としての新たなる物語を……5年前とは違う、熱烈な朝日に迎えられ俺は新たなる一歩を踏み出した……
☆☆☆
王国を出て数日、俺と親方はファルテナ公国へ向けて野宿を繰り返していた。ファルテナ公国が隣国とはいえ、俺達が活動していた
王国からは1テラメートル以上も離れている。馬車を使っても数日はかかる距離なのだ。それを歩いていくのだから6日程かかるのは当たり前といえよう。 それに加えて、久し振りに自分の力で俺は魔物を討伐した。今までは『追放の勇者』という面目だが
一応、剣の適性は存在していたし魔法もすぐに覚えられたりと少しだが恩恵があった。
恩恵はもう無いが、俺は魔物と戦えている。魔物というのは魔族とは違い、極限まで知能が低下した所謂化け物の一種だ。だからこそ攻撃の規則性や弱点部位を理解すれば簡単に倒せる。だけど俺は魔族と戦えるほどに力を身に着けてはいなかった。
俺が戦ったのが魔物の中でも中級に位置するオーガやワイルドフルフだったから良かったもののこれがもう少し上位の魔物だったら俺は負けて殺されていただろう。やっぱり俺は弱い。親方が居ないときっとのだれ死んでしまっていた。
ファルテナ公国まであと少し、俺は少しでも強くなるために現れる魔物を倒しながら進むのであった……
☆☆☆
「やっと着いたか……」王国とは違う異種族国家であるファルテナ公国。その入り口へと着いた俺はそう呟いた。目の前には俺達人族ではない、獣人やエルフが行き交っていた。
ファルテナ公国は魔王がはびこる中で魔族とは違う獣人族とエルフの民達と同盟を結んだ史上初の国家だ。王国とは違いドワーフが
経営する鍛冶場もある為冒険者活動が盛んに行われている。
「よし、まずは冒険者ギルドか……」俺はそう呟いてファルテナ公国の中に入るのだった……
ファルテナ公国に入った俺と親方はまず
最初に冒険者ギルドへと向かった。大抵、国の中心である王都と呼ばれる場所に各ギルドなどは密集している。冒険者ギルドへと着くと俺は右奥にあるカウンターへと足を運んだ。「冒険者登録をしに来た。グレ、いやシュウヤという」俺のその一言で受付嬢の女性は冒険者ギルドのイロハを説明し始める。
「冒険者というのはEからSSまであります。通常ならSまでで勇者のように特徴的な職業か国の危機を救ったなどの功績によりSSランクになれることもあります。また、冒険者ギルド内での争いは厳禁です。分かりましたか?」受付嬢の説明が終わると遂に
登録の義に移る。俺は受付嬢から渡された針を指に突き刺し血をプレートに付けた。
その瞬間、プレートに俺のステータス情報が組み込まれる。
名前―シュウヤ
職業―平民(元勇者)
スキル
天啓の書
「おい、坊主。辞めとけ……俺は長いこと
冒険者をやっているが平民で生き残った人を見たことがねぇ。冒険者になりたいと思ってここに来たんだろうが辞めるのがお前のためだぞ」ギルドの中心に居たおっさんにそう言われながらも俺は答えた。
「心配してくれてありがとう。だが、俺は大丈夫だ。俺一人ではないし俺一人でもやっていける」その言葉と同時に俺は買い取り場に魔術袋に入れておいたオーガとワイルド
フルフを渡す。
「此処に来るまでに倒した魔物だ。買い取りをお願いしたい」
「待った、坊主、いやシュウヤ。俺はまだ登録してねぇぞ。 俺は親方とでも呼んでくれ」親方はそう言って自身の血をプレートにかけた。
名前―親方
職業―武道家
スキル―武術
・心技一体
・鉄羅
・居合い
『追放の勇者』の後日譚〜役目を果たした元勇者が英雄に至るまで〜 KURO @2026336
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