中学の頃、高校に入るまでという約束のもとYouTuberとして活動していた主人公。
約束通り、高校に入学し、YouTube活動も終わりを迎えて弱冠1ヶ月。彼は1人の美少女Vtuberを“推す”ようになる。そんな折、彼が目にした広告には、推しが所属するVtuber事務所の二期生を募集する旨が書いてあった。
勇気を出して親に相談し、そのオーディションを受け、タイトル通り合格する…というところから物語は始まります。
一人称、かつ、1話1話が1000〜1500字程度と短く、読み易い印象です。また、Vtuberということもあって彼の成長が登録者数やスパチャといったある種のステータス——数字で示されわかりやすい。
登場人物達も“良い奴”で人間関係の心配なども特にない。
総じてスキマ時間に集中して、ストレスなく読み進める事ができます。
全体的に配信者としての主人公の日常や心理描写に焦点が当てられていて、Vtuberならではの葛藤や努力が作品の1つの魅力です。リアルバレがあるため、友達付き合いにも気を配ったり、今度はV側の関わり合いをケアしたり…。
また、主人公も魅力の1つ。彼が高校生とは思えないほどうぶで純粋。配信のたびに増える彼の登録者数は、『動画』の閲覧者のような気持ちで応援したくなります。
この感覚は他の作品でも味わったことのないもので、時折挟まれるファンのコメントが一役買っている印象でした。
ジャンルが「現代ドラマ」なだけあって20話読了時点では、ラブコメ・恋愛要素はかなり薄め。作者様の線引きのようなものが感じられます。
それでも、Vにもリアルにも個性的なヒロインが登場するので、今後は彼女たちとのアレコレも期待できそうかな…?
他に類を見ない、小説なのに『実況動画』を見ているような、作者様の工夫と技術。
純粋で前向き。何より努力家な主人公は今後どのようなVtuberになっていくのでしょうか。同じクラスの“あの子”、大学生の“あの人”が今後どのように主人公に関わっていくのか。
つい、色々と期待してしまう、ユニークな作品です。