第24話 美しい町
ここから山を越えれば飛鳥ということはわかっていたのですが、体力的に限界だったのと、日没も近いということで、今回はここで引き上げることにしました。
三月から四月にかけての「日の長くなりかた」はけっこう大きい。「これぐらいの時間にはもう暗くなっているもの」と思っていたら、まだ昼のように明るかったりする(まあ昼なのですけど)。そのかわり、太陽が高いと思っていても、わりと日が暮れるのが近かったりします。
というわけで、
もしかすると、
途中で万葉まほろば線の電車に乗りましたが、それ以外はずっと歩いて、ここで電車に乗ってみると、電車というのがすごくありがたい、奇跡のような交通機関だと感じます。
姫の物語はまだ続くので、このあともロケーションハンティング(「紀行」)は続けようと思いますが、その第一段階はここで終わりにしようと思います。
桜も満開に向かっている時期でした。
その時期の大和平野を歩くことができたのは幸せだったと思います。
また、今回、自転車か歩きを中心に、自分の書いているお話ゆかりの場所をめぐってみたのですが。
そこで印象づけられたことの一つに、町場の美しさ、というのがありました。
明治より前にできていた町をもとに、家が徐々に建て替えられるなどしてできた街並みです。
高層建物がそんなに多いわけではなく、個人の住宅と個人商店が並ぶ。
そんな街並みって美しいな、と感じたのです。
しかし、その街並みで、個人商店などの小規模な商店で、もう営業しなくなっているらしい店がたくさんありました。
KAC2023で本屋さんの話を書いたとき(『文化屋書店の話』)、「駅前の本屋」というのがなくなってほんとうにいいのか、ということを書いたのですが。
https://kakuyomu.jp/works/16817330653888757644
https://kakuyomu.jp/works/16817330654749052853 (「あとがき」集)
近所の町の商店街に行けば、特別なものはなくても、いちおう生活に必要なものは揃う。
――そんな生活を失ってしまって、よかったのかどうか?
いまそれをあらためて考えるべきときなのではないか、ということを、今度の「紀行」のあいだ、ずっと考えていました。
姫の物語とはあまり関係ないですけど。
(終)
『手白香姫の冒険』紀行 清瀬 六朗 @r_kiyose
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