1pv の怪

高黄森哉

某サイトにて


 私は最近、某サイトで創作物の投稿を始めたのです。でも、鳴かず飛ばずで、どれだけ頑張っても、 10 人の人間が私の詩を読んでくれるのみ、、なのです。酷い時は、一人だけしか見てくれないなんてこともあったり。


 そのサイトは、呼んでくれた人を追跡するような機能は具えられてません。


 もしかしたら、ロイヤリティプログラムに参加すれば、そういうことも可能なのかもしれませんけれど、私の文字の横にエッチな広告があると、目が滑るんじゃないかな、なんて思ったり(私がよく検索している物事に、広告が左右されることを知ったのは、これを投稿した大分後でありました)。


 だから、その人が一体どんなアカウントで活動しているのかというのは、私にとって、永遠の謎かと思われました。なのですがつい最近、その人と思わしき人物がハートを送ってくださいました。


 私は絶対にいつもの彼だと確信いたしました(私は勝手にその人が男ということにしています)。なぜなら彼ほど私の投稿に機敏に反応する人物はいないからです。私が投稿すると、彼は必ず五分以内にハートをくださるのです。


 五分以内。正直、そのスピードには恐怖を感じます。彼は一体どうやって察知しているのでしょう。それは昼間投稿しようと、深夜投稿しようと変わらないのです。私の投稿欄に張り付いているとしか思えません。でも、そんなに熱烈だからこそ、より気になるのです。


 私はハートをクリックして、彼の名前を知りました。カ〇ヨム=太郎。なんと、私が予想した通り、男の人でありました。彼のプロフィールを開くのは、なんだか、どきどきするようでした。


 プロフ欄は、なにもありませんでした。まったくの空白でした。そのかわり、彼が凄まじい数の創作物にハートを送っていることが判明しました。残念なことに私は、彼にとって特別ではなかったのです。彼のことをフォローすると、彼が作品にハートを送ったという通知が毎秒のように届きました。


 私は正体を知り落胆しました。本当に膝から崩れ落ち、そのまま床にうつぶせになり、背中には猫が載りました。彼の正体は恐らく、私のような零細創作家が止めてしまわぬよう、某サイトが送り出した bot なのであります。


 ところで、あなたを応援している人、本当に人間、、、、、ですか?



 〈●〉〈●〉ジッ…




【このお話はフィクションです。このお話に登場するサイトは現実のそれとは一切関係ありません】

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1pv の怪 高黄森哉 @kamikawa2001

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