第一章 読めない義弟③
夜会当日。ルディプロデュースのお
と心の中で不満を
「今日は王太子
「王太子って今年十七歳じゃないの!?」
「
なんてこった!! 王太子・シルヴィードは自分と同じ
こんなに慌てているのには理由がある。
それは王太子十八歳の生誕パーティー会場が物語のスタートになるからだ。
えっと確かルディウスとヒロインの出会いは中庭で、
そうそう。王太子がファーストダンスに
「しまった!!」
ゴンッ!
「姉上。馬車で立ち上がるのは危険ですよ」
打った頭を押さえつつ、頭を抱えた。
そうだ。王太子とヒロインの出会いって街でヒロインが連れ去られようとしているところを、お
私は数日前に
あれか!! 全然モブじゃなかった! どうりで私好みの女の子だと思ったわ!
両手に
「姉上?」
そういえばルディはあの女性は好みじゃないって言ってたよね。
「ルディ。この前街で助けた女性を見てこう……ときめいたりしなかったの?」
「? ええ……全く……」
おかしい。
ヒロインを見ても反応なし?
えっと確かルディウスはヒロインの泣き顔を見て……。
泣いてないからか!!
そうだ。原作ではルディウスがヒロインと出会った時、ヒロインは泣いていた。
「ルディ……」
「はい?」
「泣いている女性を見ても興奮しちゃダメだからね」
私の言葉にさすがのルディも
「……俺にそんな
どの口が言う。
王宮に着き馬車から下りると、エスコートをしてくれているルディの横顔をチラリと
この
ルディが私の背を
「姉上。顔が
どうやらにやけ顔になってしまっていたらしく、顔を引き
さすが王太子の生誕祭。
集まっている顔ぶれは要人ばかり。
「姉上。次ですよ」
ルディに
それはルディがいるからだ。
関係的には殿下とルディは
順番が回ってきて殿下に挨拶をすると顔を上げるよう
おぉ!!
想像以上のイケメンに思わず
「あなたがルディウスの姉上か。去年は公爵の背に隠れて顔がよく見えなかったが、
えっ!? 噂ってルディが言ったの?
ルディが私を綺麗だとか言っている姿が想像できなくて、
「王太子殿下は女性を
リップサービスを真に受けるほどお子ちゃまではありませんから。それにしてもルディといい、王太子といい、イケメン設定
ダンスの時間になり手を差し出された。
「俺と
ついにこの時間がやってきてしまった。エスコートを受けた男性と最初に踊るのがこの世界でのマナーとなっている。つまり私はルディと踊らなければならないのだが……。
「私……すごく下手だよ」
そう。公爵令嬢になってからダンスの練習が本格的に始まったのだが、下手くそ過ぎて先生が
「知っています」
そんなことは百も承知だと言わんばかりに
足
この私が……踊れてる!?
「何年姉上に付き合わされたと思っているのですか。姉上の独特な
さすが
「それ、大変じゃなかった?」
「ええ。おかげで姉上以外の方と踊るのが難しくなりました」
え? 恨み言?
「なので姉上も俺以外の男と踊るのは
「私を踊りに誘う男なんていると思う?」
「姉上はもう少し自覚した方がいいですよ……」
ん? それはどういう意味ですか?
ダンスは無事に終わり、ルディのおかげで
「とても
「ルディの先導が
ほほほ……と笑いながらルディに助けを求め、視線を送ると無表情でこちらを見ていた。
無視を決め込まないで助けてよ!
首を小刻みに
「殿下が姉上と踊るのは無理だと思います」
言い方! 人付き合い下手か! どちらに対しても失礼だから!
「
殿下の
悪役をやめたら義弟に溺愛されました 神楽 棗/角川ビーンズ文庫 @beans
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